1998 Fiscal Year Annual Research Report
高齢障害者の起き上がり動作を介助する介助方法の実験的研究
Project/Area Number |
10770707
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
柴田 克之 金沢大学, 医学部, 講師 (60178902)
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Keywords | 介助動作 / 体幹筋活動 / 腹斜筋 / 脊柱起立筋 / 荷重量 |
Research Abstract |
重度の寝たきり患者(模擬患者)をベッド上の側臥位から端座位へ起こす介助動作を行わせ,介助者の体幹の動きと体幹筋活動と足部荷重量を測定した.介助者となった被験者は平均年齢21.4±0.5歳,平均身長163.2±1.6cm,平均体重62.1±1.9kgで,模擬患者は身長168cm,体重62kgであった.測定機器は床面に設置された2枚のフォースプレート上に被験者が立ち,両足部の3軸分力の荷重量を120Hzでサンプリング周波数で,表面筋電図は体幹の左右の腹斜筋群,脊柱起立筋,大腿四頭筋の計6筋を100Hzのサンプリング周波数でA/D変換器を介しパソコンに入力した.また体幹の動きは,3次元画像解析装置を用い,被験者の体表面につけたランドマーカの画像を60Hzのサンプリング周波数でパソコンに入力し計測した.介助動作の筋活動量は脊柱起立筋が,持続的な活動を示し,腹斜筋の筋活動は脊柱起立筋の1.5〜2.0倍であった. すなわち,介助者は体幹を後方へ引っ張り起こす力として脊柱起立筋の求心性の筋活動と同時に拮抗筋として腹斜筋群が腹壁を真っ直ぐに支える固定筋としての機能を有していた.また左右の腹斜筋を比較すると,右側の活動が左側より有意に大きな筋活動を示した.つまり左側に負荷された荷重を右側の体幹で下方に引っ張り下げる動作となるカウンターバランスが生じ,右側の腹斜筋群と脊柱起立筋が左側に比べ大きく活動する非対称的な筋活動を示した.したがって介助者に最も負荷が生じる動作は,引き起こし動作の開始30〜40%であり,体幹が70°〜60°の前屈姿勢を強いられ,模擬患者の体重の一部が介助者に負荷される相であった.力学的には介助者の重心位置からのモーメントアームが長くなり,模擬患者の重量が腰部に荷重され大きなトルクが骨盤中心に生じる動作であることが明らかになった.
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