1998 Fiscal Year Annual Research Report
遺伝子導入筋芽細胞を用いた軸索再生誘導に関する実験
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10770710
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
森田 哲正 三重大学, 医学部, 助手 (70293777)
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Keywords | 筋芽細胞 / シュワン細胞 / テネイシンC |
Research Abstract |
この研究の目的は骨格筋を末梢神経欠損部への代用神経として利用するための筋処理方法を確立することと、移植したgraft material(拠理骨格筋)内へのSchwann細胞の遊走を増強させる方法を確立することである。 今年度に得られた新たな知見としては以下の3つがあげられる。 1. 筋処理法の確立 マーカインを骨格筋に注入すると基底膜構造を温存したまま急速な筋壊死、壊死筋の排除、筋再生をおこすという特性を利用し、代用神経を作成した。これらをラットの坐骨神経欠損部に移植したところ以前まで行われていた凍結融解処理筋移植より良好な機能回復が得られた。更にこれらは凍結融解した神経のallograftより良好な機能回復が得られることが分かった。 2. 筋芽細胞はSchwann細胞の遊走を促進した。 マーカイン処理した骨格筋内には早期に筋再生のため筋芽細胞が多く存在する。それらを除去しなかった代用神経は、筋芽細胞を除去したものに比べ格段に良好な機能回復が得られた。よって筋芽細胞はSchwon細胞の遊走を増強させることが分かった。 3. テネイシンCはSchwann細胞の遊走を抑制した。 テネイシンCは細胞外マトリックスに存在する糖たんぱく質の1つで、悪性腫瘍、炎症、創傷治癒などの組織再構築を伴う生体反応の場に発現することが知られており、細胞の接着、遊走、増殖への関与が示唆されている。今回、Schwann細胞への働きを確認するため、切断した神経におけるテネイシンCの発現を組織学的に経時的に観察した。その結果、切断早期ではランビエ絞輪部、後期ではWaller変性部で亢進することが分かった。また培養Schwann細胞にテネイシンを加え遊走能を観察したところ、テネイシンを加えた方はその遊走を抑制することが分かった。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] 森田哲正ほか: "筋芽細胞を用いた軸索再生誘導" 日本手の外科学会雑誌. 第15巻・号外. 246-246 (1998)
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[Publications] 森田哲正ほか: "培養シュワン細胞の自動分化の機序について" 日本手の外科学会雑誌. 第15巻・号外. 166-166 (1998)
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[Publications] 森田哲正ほか: "培養Schwann細胞におけるgap junction形成の生理学的意義に関する研究" 日本整形外科学会雑誌. 第72巻・8号. S1366-S1366 (1998)
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[Publications] 森田哲正ほか: "Sphingomyelin cycleによる培養adult Schwann細胞のプログラムされた細胞死" 日本整形外科学会雑誌. 第72巻・8号. S1367-S1367 (1998)
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[Publications] 森田哲正ほか: "シュワン細胞の自動分化における糖脂質代謝の役割" 日本整形外科学会雑誌. 第72巻・8号. S1373-S1373 (1998)
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[Publications] 森田哲正ほか: "シュワン管形成におけるテネイシンの発現とその役割に関する研究" 日本整形外科学会雑誌. 第72巻・8号. S1421-S1421 (1998)