1999 Fiscal Year Annual Research Report
腰椎変性辷り症の発症要因:女性例におけるエストロゲン受容体遺伝子多型の検討
Project/Area Number |
10770711
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
猿橋 康雄 滋賀医科大学, 医学部, 助手 (40273403)
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Keywords | 腰椎変性辷り症 / エストロゲン受容体 / 遺伝子多型 |
Research Abstract |
1996年10月から1997年11月の間に当科ならびに関連施設を受診した女性の腰椎変性すべり症患者47例(35〜86歳、平均63.1歳)を対象とした。すべりの程度は3mm以上とし股関節に著しい病変を認めるものは除外した。ER遺伝子多型の解析は末梢白血球よりゲノムDNAを抽出、PCRでイントロン1からエクソン2を含むDNA断片を増幅、PCR産物はPvuII、XbaIの2種類の制限酵素でRFLP解析を行った。PvuII、XbaIで切断されない対立遺伝子をそれぞれP、X、切断される対立遺伝子をp、xで示した。ER遺伝子型はPP,Pp,pp,XX,Xx,xx,PPXX,PPXx,PPxx,PpXx,Ppxx,ppxx等の組み合わせで表記する。コントロールとして350名の健常女性(20〜87歳、平均43.5歳)についても同様に解析を行った。結果は各ER遺伝子型における腰椎変性すべり症のodds比(odds ratio:OR)、95%信頼区間(confidence interval:CI)を計算した。ER遺伝子型PPxxは腰椎変性すべり症の危険因子となる傾向を認めた(OR=2.66,95%CI=0.92-7.69,P=0.071)。近年、ER遺伝子多型とホルモン依存性疾患、変形性関節症、骨粗鬆症との関連が報告されている。腰椎変性すべり症患者に女性が多い理由について、Rosenbergは性周期に伴う腰椎支持靭帯の弛緩が原因でないかと推察している。さらにMatsunagaらは全身関節の弛緩性を調査し、変性すべり症患者の群で対照群より弛緩性が大きかったと報告している。エストロゲンがその病態に関与しER遺伝子多型が腰椎変性すべり症の新しい遺伝子マーカーとなり得る可能性を示唆している。
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