1998 Fiscal Year Annual Research Report
前十字靱帯損傷の治癒過程における成長因子の作用についての研究
Project/Area Number |
10770715
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松田 秀一 九州大学, 医学部, 助手 (40294938)
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Keywords | 膝関節 / 前十字靱帯 / 成長因子 / 生体力学 |
Research Abstract |
1. 研究の目的:本研究の目的は損傷した前十字靭帯の治癒過程における成長因子の作用を検討することである。日本白色家兎の前十字靭帯に損傷を加え、成長因子投与の靭帯修復への効果を組織学的と力学的強度の面から検討する。 2. 研究の成果:成熟日本白色家兎30羽を用いた。麻酔下に両膝の前十字靭帯を展開し、両側の前十字靭帯は中央部に2mmの切開を加えた。1.4μgのb-FGFをゼラチン製剤をキャリアーとして右膝関節内に徐放投与し、左側の前十字靭帯にはゼラチン製剤のみ投与し、対照とした。2週、4週,12週時にそれぞれ10羽ずつ屠殺し、組織学的検討を行った。HE染色にて、b-FGF投与群においてはコントロール群に比して有意に強い、損傷部位における細胞増殖が認められた。またこの実験で、本プロトコールが、特に問題なく再現性をもって施行可能なことを確認した。 3. 今後の研究の展開:更に成熟日本白色家兎30羽を用い、同様のプロトコールで、2週、4週,12週時にそれぞれ10羽ずつ屠殺し、組織学的および力学的評価を行う。組織学的には、In situ Hybridizationを用いてtype1およびtype3 collagenのmRNAの発現を評価する予定である。力学的評価としでは、島津卓上型精密万能試験機において10mm/minの速さで靭帯をを破断させ、その際の応力-歪み曲線を作成し、力学的特性に関するパラメータを求める予定としている。その後、Transforming Growth factor-β1(TGF-β1)を用いて同じプロトコールにて、実験を繰り返し、両者の効果について、比較検討する。
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