1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770722
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
大橋 弘嗣 大阪市立大学, 医学部, 講師 (70254406)
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Keywords | 関節軟骨 / 組織延長 / 軟骨修復 / 創外固定 / 動物モデル |
Research Abstract |
関節軟骨は自己修復能力の乏しい組織である。現在その修復を目的として様々な組織移植や軟骨培養が行われてきているが、軟骨の延長についてはまだ報告されていない。我々はウサギ軟骨延長モデルを作成し、関節軟骨の延長の可能性を組織学的に検討した。 【対象及び方法】日本白色家兎の大腿骨骨幹部から膝関節を展開し創外固定延長器を装着した後、大腿骨顆部を関節面を含め骨切りした。術後3週間の待機期間の後、0.7mm×3回/週で3週間、合計6.3mmの延長を行った(延長群)。延長終了後3週後に屠殺し膝関節を採取した。矢状面で脱灰組織標本を作製し、HE染色とtoluidine blue染色による組織学的観察を行った。対照群として骨切り直後に6.3mm延長し、9週後に屠殺する群(GAP群)を作成した。また両群ともに骨癒合を抑制するために、biphosphonate(60mg×2回/週)を最初の5週間筋注した。 【結果】延長群において延長部の関節軟骨表面に、軟骨様組織が連続している所見が認められた。延長部表面にはほとんど陥凹がみられず、全般に丸みを帯びた軟骨細胞様の修復細胞が周囲の健常関節軟骨部より密に観察された。一方、GAP群では、延長群で認められたのと同様の軟骨様組織がGAP内に折れ込むような形で形成され、その間隙は線維性組織で充足されていた。 【考察】家兎の膝蓋窩に軟骨全層欠損を作製した場合、5mm以上では軟骨形成が起こらず関節表面は線維性組織に覆われると報告されている。今回の実験では全層欠損と同等のモデルを作成し、5mm以上の軟骨の延長の可能性を示した。適切な創外固定器の作成に時間がかかり、未だ詳細な検討には至っていないが、今後は経時的な変化はもとよりタイプIIコラーゲンの定量や電顕画像の確認等により軟骨の性質も確認する必要があると考えている。
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