1998 Fiscal Year Annual Research Report
健常人における腰椎椎間板変性像とその臨床的意義の解明
Project/Area Number |
10770728
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田口 哲也 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90287251)
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Keywords | 椎間板変性 / MRI / 健常人 |
Research Abstract |
前回の検討MRI上椎間板変性のみられた例数は、L3/4、4/5、L5/S1それそれ6例、33例、69例であった。対象はすべて腰痛・下肢痛等の症状のない健常人女性であったため、この結果よりわれわれは、腰痛は(特にL5/S1に関して)少なくとも椎間板変性のみで起こってくるものではないと推論した。これを裏付けるため、椎間板変性群の1年後のMRIを施行し検討した。結果、例数・変性度ともわずかな増加を認めたが、有意なものではなかった。これは、1年間の加齢を考えると、正常範囲内のものであり、病的意義はないと判断した。また、臨床症状においても同様に、治療が必要な腰痛等の症状を発現した例はわずか数名であり、統計学的検討は不可能であった。 これらのことより考察すると、MRI上の椎間板変性が病的意義に乏しいという前提に立てば、わずか1年での大きな変化は考えにくく、症状発現も少なくて当然である。このnegative dataはわれわれの推論に矛盾しない。すなわち、椎間板変性は、臨床症状の前駆状態にはなりえても、そのもの自体が進行性に症状を発現し悪化させるものではないと言えるであろう。 今後の検討課題は、1年ごとに施行するMRI上の経年的変化を観察し、椎間板変性が、症状発現のために演じる役割を把握することと、それとは逆に、症状発現例を検討することでRetrospective studyを行い、椎間板変性を予防することが可能な因子が存在するかについて検討することである。
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