1998 Fiscal Year Annual Research Report
慢性関節リウマチのII型コラーゲンに対する免疫発現機序-MRL/1マウスを病態モデルとした検討-
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10770729
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 真希 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (00266701)
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Keywords | MRL / Mp-lpr / lpr(MRL / 1)マウス / II型コラーゲン / 慢性関節リウマチ / 関節炎 / 関節軟骨 / 免疫組織化学 |
Research Abstract |
本年度は、MRL/1マウスにおける、II型コラーゲンに対する免疫反応が生じる時期・部位について、免疫組織化学的、病理組織学的に検討した。サンプルである血清と膝関節は、4〜20週齢、メスのMRL/1マウスより、各週齢ごとに採取した。まず、血清中の抗II型コラーゲン抗体(抗CII抗体)価、リウマチ因子(RF)をenzyme-linked immunosorbent assay(ELISA法)を用いて測定したところ、抗CII抗体価は生後4週の早期より出現して加齢とともに増加し、一方、RFはそれより遅れて8週齢より増加する傾向を示した。次に、マウス膝関節組織を矢状面で半割し、periodate-lysin-paraformaldehyde(PLP)固定、EDTA溶液内で脱灰の後、半分をパラフィンに、半分をOCT compoundに包埋した。このパラフィンブロックより切片を作製し、HE染色を施行した。その結果、4週齢より成長軟骨・骨髄・骨膜に囲まれた領域(ossification groove of Ranvier、ならびにperichondral ring of LaCroix)に、中〜大型の細胞の集積が認められ、その部位の面積は、抗CII抗体価の上昇に相関して拡大する傾向にあった。この細胞の多くは、間葉系と考えられる中型の円形、紡錐形の細胞であったが、一部に多核巨細胞の存在も認められた。そこで、TRAP染色により破骨細胞を同定し、陽性細胞数の単位面積当たりの数を求めたところ、週齢とともに増加を示しており、細胞集積部の面積と同様、抗CII抗体価と相関して変動することが確認された。なお、今回の実験に用いたマウスでは、滑膜炎は20週齢以降で、軽微に認められたにすぎなかった。以上より、MRL/1マウスにおいては、II型コラーゲンに対する特異的抗体が生後早期より産生され、同時に、関節の軟骨周辺領域に間葉系細胞が集積することが証明された。次年度には、この間葉系細胞の免疫機能について、さらなる検討を加える予定である。
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