1998 Fiscal Year Annual Research Report
実験的横隔膜疲労に及ぼす一酸化窒素の役割と呼気一酸化窒素濃度の変化
Project/Area Number |
10770739
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
藤井 善隆 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (90292557)
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Keywords | 横隔膜疲労 / 一酸化窒素 |
Research Abstract |
呼吸筋は換気運動のジェネレーターであり、各種の神経・筋疾患において呼吸筋の収縮力低下により呼吸不全が発症するとされている。このように呼吸不全の一因と呼吸筋の機能不全、特に横隔膜疲労の関与が示唆されている。イヌを用いた敗血症モデルにおいて呼吸筋疲労の増加とともに一酸化窒素の産生も増加することが既に知られているが、横隔膜疲労と一酸化窒素の関係は不明であった。今回の研究では、生体内に存在する内因性の一酸化窒素の産生を抑制する一酸化窒素合成阻害酵素であるN^G-nitro-L-arginine methyl ester(LNAME)を投与した後に実験的横隔膜疲労を作成し、その収縮力を測定することにより一酸化窒素の役割を調べた。 雑種成犬を用い、静脈麻酔薬を投与した後気管内挿管して人工呼吸を開始した。両側頸部を皮膚切開して頸部横隔神経を剥離展開して横隔膜が刺激されるように刺激電極を装着した。胃と食道にラッテクスバルンを留置し、それぞれの圧を測定し、その差圧を経横隔膜圧差として横隔膜収縮力の指標とした。両側頸部横隔神経を連続刺激して実験的横隔膜疲労を作成する。疲労作成前にLNAMEを投与して横隔膜圧差の変化を観察した。 実験的横隔膜疲労作成前にLNAMEを投与することによって経横隔膜圧差の低下が認められないことから、横隔膜疲労の作成が抑制されたことが示された。以上の結果から、横隔膜疲労の成因に一酸化窒素は関与するこが示唆された。さらに研究を続けて、呼気一酸化窒素濃度の変化と横隔膜疲労との関係を調べていきたい。
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