1998 Fiscal Year Annual Research Report
侵襲時の多核白血球(PMNL)機能に関する総括的研究
Project/Area Number |
10770752
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小倉 裕司 大阪大学, 医学部, 助手 (70301265)
|
Keywords | leukocyte / priming / apoptosis / heat shock protein / cytokine |
Research Abstract |
外傷、熱傷、敗血症患者において多核白血球(PMNL)のプライミング、アポトーシス、およびストレス蛋白発現をフローサイトメトリーを使用して経日的に測定し、血管内皮細胞障害、臓器障害との関連性を検討した。その結果、重症外傷患者においては受傷後約1週間にわたりPMNLはプライミングを受け、アポトーシスは約2週間にわたり有意に抑制されることが判明した。また、受傷後約1週間にわたりPMNLにおけるストレス蛋白(HSP27,70,90)の発現は有意に亢進しており、PMNLのプライミング、アポトーシスの変化との関連性が示唆された。同時に外傷後の感染をセカンドヒットとしてとらえると、セカンドヒットに伴い、既にプライミングされたPMNLがさらにプライミングを受けることが判明し、セカンドヒットプライミングと命名して報告した。さらに、セカンドヒットプライミングは必ずしも血管内皮細胞障害や臓器障害を引き起こさないこともあわせて報告した。一方、熱傷患者では他の外傷患者に比べ長期間にわたり、PMNLのプライミシグは亢進し、アポトーシスは抑制されることを明らかとした。さらに、敗血症患者において、外傷患者同様にPMNLのプライミング亢進とアポトーシスの抑制がみとめられ、死亡例ではPMNL機能とサイトカインバランスの崩壊がみとめられることを報告した。PMNLのストレス蛋白発現に関しては、外傷以外の全身性炎症反応(SIRS)患者においても外傷同様、発現が有意に亢進することを明らかとした。 今後は、患者血清中に含まれるPMNLのプライミング因子、アポトーシス制御因子、およびストレス、蛋白発現制御因子の同定をおこなう。また、SIRS患者のPMNL機能変化と血管内皮細胞障害、臓器障害との関連性についてさらに検討を加える。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] HIROSHI OGURA: "Priming,second-hit priming,and apoptosis in leukocytes from trauma patier" J.Trauma(in press).
-
[Publications] 小倉裕司: "熱傷に対する生体の炎症反応" 集中治療. 10・2. 131-142 (1998)
-
[Publications] 橋口尚幸: "SIRS患者における多核白血球の熱ショック蛋白質発現" 日本Shock学会雑誌. 13・2. 71-75 (1998)
-
[Publications] 小川道雄: "臨床侵襲学“侵襲に対する生体反応ー外傷"" へるす出版, 680 (1998)