1998 Fiscal Year Annual Research Report
パッチクランプ法を用いMg2+の抗不整脈作用を単一ラット心筋細胞レベルで解明する。
Project/Area Number |
10770768
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Research Institution | Jichi Medical University |
Principal Investigator |
富樫 秀彰 自治医科大学, 医学部, 助手 (80301456)
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Keywords | マグネシウム / 心刺激伝導系 / イヌ |
Research Abstract |
マグネシウムの抗不整脈作用の検討をする実験の前に、本年度はマグネシウムイオンの心刺激伝導系におよぼず電気生理的効果を検討した。 【方法】 薬理学的自律神経遮断下のイヌに対しマグネシウムを投与し、心電図および6極電極ヒス束電位図用カテーテルと石房ペーシング用4極電極カテーテルを用いて洞結節回復時間、補正洞結節回復時間、洞房伝導時間、房室結節有効不応期、Wenckebach cycle length、房室伝導時間を測定した。マグネシウムイオンは硫酸マグネシウムのかたちで80,160および240mg/kg/hで投与し、各投与速度で20分経過した時点で各パラメーターの変動を投与前と比較した。 【結果・考察】 硫酸マグネシウムの3段階増量持続投与により、血清マグネシウムイオン濃度は0.38mMから1.28、1.69および2.0lmMへ上昇し、このイオンは測定パラメータである洞結節回復時間、補正洞結節回復時間、洞房伝導時間、房室結節有効不応期、Wenckebach cycle length、房室伝導時間のいずれも濃度依存性に延長させた。このマグネシウムイオンによる濃度依存性の陰性変時・変伝導作用は、このイオンのカルシウムチャネルブロッカーとしての作用以外に、ナトリウムおよびカリウムチャネルに対する抑制作用を介してもたらされたと考える。血清マグネシウムイオン濃度が正常の5倍レベルにまで上昇しても心ブロックや不整脈を発生させなかったことから、マグネシウムイオンの刺激伝導系に対する安全性は高いといえる。 【得られた新たな知見】 マグネシウムイオンは、0.38から2.01mMの血清濃度範囲で心刺激伝導系に濃度依存性の陰性変時・変伝導効果を発揮し、また心ブロックや不整脈を発生させなかった。
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