1998 Fiscal Year Annual Research Report
プロポフォールの胎盤透過性に対するタンパク結合、P-Glycoproteinの影響
Project/Area Number |
10770774
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
何 艶玲 兵庫医科大学, 医学部, 助手 (70233640)
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Keywords | 胎盤透過性 / タンパク結合 / プロポフォール |
Research Abstract |
1. ヒト胎盤潅流系の確立: 帝切時の娩出胎盤をただちに母体側と胎児側をM199組織培養液を用いて同時に潅流した。母体動・静脈および胎児側動・静脈より潅流液を採取し、グルコース、ラクテートおよび絨毛ホルモンHCGの濃度をそれぞれ測定した。胎盤のviabilityが維持されていることがこれらのマーカーにより証明された。 2. プロポフォールの胎盤透過性に対するタンパク結合の影響: 母体側潅流液中のアルブミン濃度を4.4mg/mLに維持し、胎児側潅流液中のアルブミン濃度を4.4,11,22,33,44mg/mLと変えた条件下で、プロポフォール(P)の胎盤透過について検討した。母体側潅流液中にPとアンチピリン(A)を添加し、母体側の動・静脈および胎児側静脈潅流液中のPとAの濃度はHPLCにて測定した。母体側から胎児側への胎盤透過クリアランス(CL)は母体側動脈中濃度(MA)、胎児側静脈中濃度(UV)、胎児側流量(Qr)を用いて算出した(CL=UVxQr/MA)。さらに、母体側潅流液中および種々のアルブミン濃度を含有する胎児側潅流液中でのPのタンパク非結合率を限外濾過法を用いて測定した。Pのタンパク非結合率が潅流液中のアルブミン濃度が増加するにつれて、著しく低下したことが明かとなった。AのCLが胎児側潅流液中のアルブミン濃度にまったく影響されなかったのに対し、PのCLは胎児側潅流液中のアルブミン濃度が増加するに連れて高くなり、AのCLを上回る結果となった。以上の結果より、Pのタンパク結合はアルブミン濃度に影響されることがわかった。さらに、その透過性は速やかであり、潅流液中のアルブミン濃度に大きく依存することが明かとなった。
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