1999 Fiscal Year Annual Research Report
末梢神経障害後にヒスタミン感受性を示す一次知覚ニュ-ロンと疼痛の関係について
Project/Area Number |
10770779
|
Research Institution | Kansai College of Oriental Medicine |
Principal Investigator |
樫葉 均 関西鍼灸短期大学, 鍼灸学科, 助教授 (10185754)
|
Keywords | ヒスタミン受容体 / 遺伝子発現 / ニューロペプチドY / カプサイシン / 一次知覚ニューロン / モルモット |
Research Abstract |
既にこれまで、15-20%の後根神経節細胞がヒスタミンH1受容体mRNAを発現していること、これらの細胞は無髄線維を有する小型細胞であること、神経ペプチドであるサブスタンスPやカルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)を含有しないこと、末梢神経障害後、新たにH1受容体mRNAが発現すること等を報告してきた。そこで、H1受容体mRNAを発現するニューロンのカプサイシン感受性についてIn Situハイブリダイゼーション(ISH)法等を用いて検討したところ、これまで報告がなかったカプサイシン感受性及び非感受性のニューロペプチドY(NPY:神経ペプチドの一種)陽性後根神経節細胞が新たに見い出された。これらの陽性構造は、実験に用いた抗NPY抗体と合成NPYを混合して後根神経節の凍結切片をインキベートすることで消失した。また、抗NPY抗体はNPYファミリーを形成するpancreatic poplypeptideやpeptide YYを認識しないことも分かった。後根神経節の約40%の細胞がNPYに陽性を示し、全てこれらは小型の細胞(<30μm)で、IB4(イソレクチンの一種)に陽性であった。これらのことから、NPY陽性細胞もまた無髄線維を有するものと思われる。これらのNPY陽性細胞のうちカプサイシンに感受性を示すものは約1/3で、CGRPを含有することが示唆された。一方、カプサイシンに感受性を示さないものは、H1受容体mRNAを発現することが分かった。つまり、H1受容体mRNAは、カプサイシン非感受性の無髄線維で、NPYを含有する後根神経節細胞に発現することが分かった。末梢神経障害後にH1受容体mRNAを新たに発現する細胞は、カプサイシン感受性のNPY陽性細胞であることが示唆された。
|
-
[Publications] Kashiba H.,Fukui H.,Morikawa Y. and Senba E.: "Gene expression of histamine H1 receptor in guinea pig primary sensory neurons: a relationship between H1 receptor mRNA-expressing neurons and peptidergic neurons"Molecular Brain Research. 66. 24-34 (1999)
-
[Publications] Kashiba H., and Senba E.: "Up-and down-regulation of BDNF mRNA in distinct subgroups of rat sensory neurons after axotomy"Neuro Report. 10. 3561-3565 (1999)
-
[Publications] Kashiba H. et al: "Gene expression of BDNF is up- and down- regulated in distinct subgroups of rat sensory neurons after peripheral nerve damage"Neuroscience Research Supplement. 23. S165 (1999)
-
[Publications] 樫葉均、上田至宏、錦織綾彦、仙波恵美子: "ヒスタミンH1受容体mRNAはカプサイシン非感受性のNPY陽性細胞に発現する"Pain Research. 14. 12 (1999)