1999 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺癌細胞の接着因子の発現調節における骨芽細胞の役割と骨転移機序の解明
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10770809
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 全伯 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00296675)
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Keywords | 前立腺癌 / サイトカイン / 骨転移 |
Research Abstract |
前立腺癌は診断された時点ですでに進行癌であることが多く、ことに骨に転移することが多いことが知られている。前立腺癌の骨転移に関与する因子としてIGF,TGF,IL-6,TNFなどのサイトカインが考えられており、我々の検討では前立腺癌細胞であるPC3,DU145,JCA1細胞がそれぞれIL-6,MーCSFならびにTGFβを産生することを見いだしている。また骨芽細胞が産生するサイトカインが前立腺癌の増殖を促進する可能性も考えられる。IL-6存在下におけるPC3細胞の浸潤能をbiocoat matrigel invasion assayを用いて検討したところ有意な浸潤増強効果を認めなかった。一方、PC3細胞をIL-6存在下に培養したとき細胞数の増加が観察された。ホルモン非依存性であるPC3,DU145細胞においてTGFβは軽度の細胞増殖抑制効果を、MーCSFは軽度の細胞増殖刺激効果を示した。そこで未治療前立腺癌患者における血清IL-6ならびにTGFβ活性を検討した。非骨転移例及び骨転移例における血清IL-6活性はそれぞれ4.2±1.7pg/ml,12.4±4.9pg/mlであり、骨転移例において有意に血清IL-6活性の上昇が認められた。一方骨転移例及び非転移例におけるTGFβ活性はそれぞれ39.9±1.8ng/ml及び34.1±3.7ng/mlであり両群間に有意な差を認めなかった。さらには、血清IL-6活性と血清TGFβ活性との間に有意な相関関係が認められなかった。IL-6、MーCSF、TGFβの前立腺癌の増殖における作用は異なることが示唆され、これらサイトカインの前立腺癌細胞の増殖や骨転移における病態生理学的意義は多様であることが示唆された。
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