1998 Fiscal Year Annual Research Report
腎細胞癌における炎症性サイトカインの発現および腫瘍浸潤細胞の機能的解析
Project/Area Number |
10770812
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
近藤 恒徳 東京女子医科大学, 医学部, 助手
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Keywords | ケモカイン / 腫瘍内浸潤リンパ球 / 腎細胞癌 |
Research Abstract |
腎癌症例42例の手術標本の腫瘍部、正常部組織よりRNAを抽出し、逆転写反応によりcDNA作成した。6種類のchemokine(IL-8、RANTES.MIP-1α、MIP-1β、W-10、MCP-1)のmRNA発現レベルを相対的RT-PCR法により検討した。Internal controlである18S rRNAとchemokineを同一反応内で増幅し、18S rRNAに対するchemokineの発現比をもって比較検討した。このうち20例では細胞浸潤について検討した。パラフィン包埋切片でCD8^+およびCD68^+細胞の浸潤を免疫組織染色にて検討した。400倍でランダムに選択した10視野の陽性細胞数を合計し、浸潤細胞数とした。2群間の統計学的検定はt検定にて行った。Chemokine遺伝子発現量と浸潤細胞数の相関性はPearsonの方法により検討した。p<0.05をもって有意と判定した。【結果】腫瘍部、正常部のchemokine遺伝子の発現を検討すると、RANTES.MIP-1α、MIP-1β、IP-10の4遺伝子の発現が腫瘍部で有意に増加していた。IL-8、MCP-1は発現レベルに有意差はなかった。臨床的因子(腫瘍径、stage、grade、DNAploidy、growing type)との相関は見られなかった。腫瘍部、正常部の浸潤細胞数はCD8^+細胞、CD68^+細胞とも腫瘍部で有意に増加していた。浸潤細胞数とchemokine遺伝子発現量を比較すると、CD8^+細胞数とIP-10(R^2=0.64:p<0.001)、RANTES(R^22=0.31:p<0.01)、MIP-1β(R^2=0.27:p<0.02)の間に統計学的に有意な相関性が認められ、腫瘍内リンパ球浸潤に関与している可能性が示唆された。MIP-1α、IL-8、MCP-1には有意な相関性は認めなかった。いずれのchemokineもCD68^+細胞との間の相関性は認められなかった。RANTES、MIP-1αについては、凍結切片を用いて免疫組織染色を行った。両chemokine共に腎癌細胞より発現が見られ、間質細胞、浸潤細胞よりの発現は見られなかった。ここまでの検討で、RANTES、MIP-1α、MIP-1β、IP-10は腎癌細胞より産生され、リンパ球浸潤に関与している可能性が示唆された
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