1998 Fiscal Year Annual Research Report
Yeast functional assayによる膀胱癌におけるp53変異の検討
Project/Area Number |
10770816
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
山本 員久 大阪医科大学, 医学部, 助手 (90301811)
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Keywords | p53 / Yeast functional assay / 膀胱腫瘍 / Rat |
Research Abstract |
(本研究では酵母を用いたp53 Yeast functional assayを発癌実験系が確立されているラット膀胱癌のp53の変異の検出に応用した。まず、F344ラット26匹に0.05%BBNを自由飲水させ膀胱癌を発生させた。生じた膀胱癌は、全例多発性の膀胱癌であった。膀胱癌ラットをBBN中止後短期間経過した群(S群)と長期間経過した群(L群)の2群に分けた。それぞれの腫瘍組織で全RNAを抽出し逆転写酵素を用いてp53 cDNAを得た後、PCR法によりDNA結合領域を含むp53cDNAを増幅した。得られた p53 PCR断片を酵母に導入し、Yeast functional assayを行った。プレート上のコロニー数をカウントし、赤(変異型p53)と白(野生型p53)コロニー数から赤コロニーの百分率を算定した。また、正常F344ラット膀胱組織をコントロールとしYeast functional assayを行い、p53の変異があると診断できる赤コロニーの比率を求め、変異の有無を判定した。その結果S群では15匹中7匹(47%)に、L群で11匹中5匹(46%)にp53の変異が検出され、全体では26匹中12匹(46%)がp53の変異があると判定できた。組織学的には悪性度、深達度ともL群で増悪する傾向があった。以上の結果よりラット膀胱癌ではp53が関与しない悪性進展の経路の存在が考えられた。またp53の変異があると判定した12匹のラットについては今後、赤コロニーを複数採取しp53cDNAを単離しそれぞれの塩基配列を同定し現在報告されているヒトのp53遺伝子の変異との関係、及び多発性膀胱癌のクローン性について考察する予定である。
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