1999 Fiscal Year Annual Research Report
子宮頚部病変におけるテロメラーゼ酵素活性レベルの定量的検討
Project/Area Number |
10770822
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
清水 久美子 千葉大学, 医学部・附属病院, 助手 (70272317)
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Keywords | 子宮頚癌 / 子宮頸部病変 / テロメラーゼ |
Research Abstract |
多段階的発癌とされる子宮頚癌において、細胞診正常群、異形成群、浸潤癌群のテロメラーゼ活性についてTRAP法、stretch PCR法、in situ TRAP法を用いて検討を試みた。諸家の報告にみられるように、異形成の組織アッセイでは約50%の陽性率となるものの、浸潤癌群に比較すると活性が低値である。同様に正常群では陰性あるいは活性低値である。安本らは、正常子宮頚部扁平上皮のうち増殖性の高い細胞のみを培養プレート上に接着させて集め、アッセイを行うと弱いテロメラーゼ活性が認められ、これは子宮頚部重層扁平上皮の傍基底細胞であると報告している。正常群や異形成の組織検体で検出された弱い活性はこの細胞の混在が考慮される。細胞のstretch PCRは感度に合わせ、試料として細胞1x10^4個をアッセイに供した。子宮頚癌細胞診のアッセイでは検出率80%であった。0期症例でもテロメラーゼ活性が陽性を示すものがある。活性強度で癌と非癌とを鑑別することはできず、活性強度と臨床進行期との明らかな関連性はない。異形成のどの段階から活性が出現するかは特定できていないが、高度異形成に検出率が高い傾向がある。in situ TRAP法では腫瘍細胞株の蛍光が一律でなく、テロメラーゼ陽性細胞のヘテロ集団形成が考えられるが、癌の多様性によるものか、伸長反応やPCRの技術的なものであるかはさらなる検討が必要である。癌では核を中心に強い蛍光を認めるが、細胞診検体では炎症の合併で混在するリンパ球や好中球がバックグラウンドになる。通常のテロメラーゼ検出法と結果が一致しない例があり、検体採取時のばらつきも問題となり得る。臨床診断に用いられている細胞診は感度が高く、異形成,頚癌ともに95%前後である。感度がやや低値を示し、テロメラーゼ活性のみで癌と非癌とを鑑別することはできない現状では、子宮頚部細胞診をしのぐ活性測定の有利性はなく補助診断と考えられる。
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