1999 Fiscal Year Annual Research Report
プラチナ製剤の薬理動態学的薬力学の理論的数学モデルの研究
Project/Area Number |
10770836
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宮木 康成 岡山大学, 医学部・附属病院, 助手 (10273989)
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Keywords | DNA crosslink / platinum / nedaplatin / pharmacokinetcs / pharmacodynamics / cell cycle / apoptosis / computer simulation |
Research Abstract |
ヒト卵巣癌細胞株をもちいて,本邦新開発プラチナ製剤であるのnedaplatin(254-S)を使用し,通常の一定濃度薬剤接触のみならず,ヒトphase studyで得られた臨床薬理学的因子(すなわち最高血中濃度,平均血中濃度,検出可能期間,半減期,血中濃度曲線下面積AUC)を用いてin vivoの薬剤濃度変化をin vitroで再現するような薬剤接触実験を行って抗腫瘍効果を調べた.DNA障害と殺細胞効果を中心とする抗腫瘍効果に代表される薬力学効果は、AUCに関して非線形性を示した。また,i)一定濃度薬剤接触実験,またii)段階的濃度変化にて薬理学的パラメータをシュミレートした薬剤接触実験,のいずれの場合においても,薬理学的パラメータ特性はcell survival,DNA障害,細胞周期およびapoptosisに関して抗腫瘍効果に影響を与えた.cell survivalに最も影響を与える因子はDNA crosslink形成量であり、cell survival fractionの対数は,閾値を有するcrosslink量との間には線形の関係が認められた. この結果をふまえ、薬物濃度変化による薬力学現象を説明する数学モデルを作成した。このモデルは、3つの式からなる連立偏微分方程式である。第一の式で薬物の細胞内流入を、第二式で薬物とDNA結合反応を、第三式でDNA crosslinkと殺細胞効果を記述した。適切な定数を与えることで、このモデルは実験結果をうまく説明できた。実測値と計算倫理値との間には統計学的有意差は存在せず、モデルの妥当性が認められた。よって、本研究は予定を完遂でき、優れた成果が得られた。 これらの成績は現在論文として投稿中である。
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