1998 Fiscal Year Annual Research Report
若年の続発性無月経患者における病態生理学的解析-特に、メラトニンと性機能系との関連を中心に-
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10770839
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Research Institution | Kochi Medical School |
Principal Investigator |
林 和俊 高知医科大学, 医学部・附属病院, 助手 (70253359)
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Keywords | メラトニン / 無月経 / 思春期 / エストロゲン / 松果体 |
Research Abstract |
視床下部-下垂体機能障害を特徴とする体重減少性無月経患者では夜間のメラトニン分泌が著明に増量していることを明らかにしてきた。また、メラトニンの増量がLHパルス分泌を障害することで本症の性機能障害を重篤化していることも明かにし報告してきた。一方、体重減少性無月経患者ではOpioid系の機能亢進があり、このこともLHパルス分泌の障害に関与していることも知られている。今回は、このOpioid系機能亢進とメラトニン分泌の増量がLHパルス分泌にどのように影響しているかを比較し検討した。 同意のもとに、正常月経周期を有する婦人の月経周期6〜8日目に生理的明暗条件(21-6時、暗)、または、夜間連続照明条件で夜間の血中メラトニン分泌動態、LHパルス分泌パターンを検討した。また、体重減少性無月経患者では生理的明暗条件で採血し、一週後に無作為に夜間連続照明条件、あるいは生理的明暗条件でOpioid antagonistのナロキソン(1.6mg/h)を連続点滴静注した群に群別し、いずれも夜間の血中メラトニン分泌動態、LHパルス分泌パターンを検討した。正常月経周期婦人の生理的明暗条件で見られた夜間血中メラトニンの増量は、夜間連続照明により有意に抑制された。LHパルス頻度は生理的明暗条件では明環境から暗環境で有意に減少したが、夜間連続照明条件で同時間帯で差はなかった。体重減少性無月経患者の夜間メラトニン分泌は正常月経婦人に比較し有意の増量を示し、夜間連続照明条件では著明に抑制されたが、ナロキソン投与の影響はなかった。LHパルス頻度は、夜間連続照明条件で生理的明暗条件に比較し増量する傾向がみられたが、ナロキソン投与では生理的明暗条件に比較し有意の増量がみられた。これらの検討から夜間のLHパルス頻度の減少にメラトニン分泌の増量が関与していることが示された。また、体重減少性無月経患者ではLHパルス発現の障害にメラトニン分泌の増量とOpioid系の亢進が共に関与していることが示されたが、今回の短期間の検討ではOpioid系の関与がより強いことが明らかとなった。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Nocturnal changes in pineal melatonin synthesis during puberty:Relation to estrogen and progesterone levels in female rats." Journal of pineal research. 22. 33-41 (1997)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Melatonin inhibits vasospastic action of hydrogen peroxide in human umbilical artery." Journal of pineal research. 22. 163-168 (1997)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Melatonin suppresses vasospastic effect of hydrogen peroxide in human umbilical artery:Relation to Calcium influx." Journal of pineal research. 22. 232-237 (1997)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Effect of estrogen on melatonin synthesis in female peripubertal rat." Jounal of pineal research. 24. 67-72 (1998)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Estrogen modulates the nocturnal synthesis of melatonin in peripubertal female rats." Journal of pineal research. 24. 224-229 (1998)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Maternal-fetal transfer of melatonin in pregnant women near term." Journal of pineal research. 25. 129-134 (1998)
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[Publications] Kazutoshi Hayashi: "Effect of estrogen on melatonin synthesis in female peripubertal rats as related to adenylate cyclase activity.." Journal of pineal research. 25. 245-250 (1998)
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[Publications] 林 和俊: "産科と婦人科 特集 思春期女性のプライマリーケアー" 診断と治療社, 8 (1999)