1998 Fiscal Year Annual Research Report
細胞外マトリックスの構築と破壊の側面から解析した産婦人科疾患の分子機構
Project/Area Number |
10770845
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
西川 鑑 札幌医科大学, 医学部, 助手 (70295351)
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Keywords | 浸潤 / 細胞外マトリックス / マトリックスメタロプロテアーゼ / Lysyl oxidase / 卵巣癌 / 子宮頚癌 / 子宮体癌 |
Research Abstract |
婦人科癌の浸潤・転移と細胞外マトリックスの関係を、子宮頸癌、子宮体癌、卵巣癌細胞株を用いて解析した。プローブとしてLysyl oxidase(LOX),カテプシンL,MMP-1,MMP-2,MMP-9,MT1-MMP,MT2-MMP,MT3-MMP,TIMP1,TIMP2,プラスミノーゲンアクチベーターおよびそのインヒビター(PAI-1,PAI-1),ets-1,E1AFcDNAを用いてノーザン解析を行いこれらの遺伝子発現を解析した。浸潤能はin vitro invasion assay、運動能は金コロイド法を用いて解析した。その結果、これらの細胞の浸潤能はMMPの産生能、特にMMP-2とMT1-MMPと強く相関があることが明らかになった。これらの細胞のなかで、特に卵巣癌細胞株では、その運動能と基底膜を分解して浸潤する能力とは一致しないこと、浸潤能には活性型のMMPが関与していることが判明した。これらの高浸潤能を示した細胞はそれらが産生するMMP-1及びMMP-2を癌細胞自身が活性化するプロテアーゼカスケードの機構を有していること明らかになった。特にこの活性化機構には膜型MMPとuPAが関与していると考えられた。さらにこれらの転写を亢進するetsファミリー転写因子の関与が示唆された。また、Differential display法により細胞のトランスフォームを抑制する遺伝子として同定された、Lysyl oxidaseは16種類の婦人科癌細胞で発現が抑制されており、また正常組織では発現していることが明らかになり婦人科癌の癌化とも関係していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 西川 鑑: "卵巣癌細胞におけるマトリックス分解酵素の発現と浸潤能の解析" 札幌医科大学学術振興会医学研究成果報告書. 67-74 (1998)
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[Publications] 西川 鑑: "Differential display 法による遺伝子同定法とその応用について" Wave on OB-GY. 57. 18-21 (1998)
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[Publications] 寒河江悟、小泉基生、西川 鑑、工藤隆一: "卵巣癌の腹膜播種のメカニズムとその制御に関する文献的考察・基礎実験を中心として" 癌の臨床. 44・10. 1077-1082 (1998)
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[Publications] 寒河江 悟、西川 鑑、小林寛治、工藤隆一: "家族性卵巣癌の遺伝子診断とその臨床的諸問題" 産婦の実際. 47・13. 2213-2220 (1998)
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[Publications] Endo, T.et al: "Effects of estradiol and an aromatase inhibitor on progesterone production in human cultured luteal cells" Gynecol Endocrinol,. 12. 29-34 (1998)