1999 Fiscal Year Annual Research Report
黄体のアポトーシスに対する局所因子の役割と妊娠黄体形成のメカニズムに関する検討
Project/Area Number |
10770851
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小澤 伸晃 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70224219)
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Keywords | 顆粒膜細胞 / プロゲステロン / hCG(ヒト絨毛性ゴナトトロビン) / 黄体 |
Research Abstract |
排卵後卵胞は黄体へと変化しプロゲステロンを分泌するが、やがて退縮し生理が発来する。妊娠成立時には黄体は退縮せず妊娠黄体となり、初期妊娠の維持機構として中心的な役割を成している。現在黄体の退縮にはアポトーシスが関与していることが指摘されているが、今回は体外受精時に得られたヒト黄体化顆粒膜細胞を用いて黄体の形成、退縮に関与する局所因子について検討した。1.ヒト黄体化顆粒膜細胞の培養法の確立:体外受精時に得られた卵胞液から摘出後、顆粒膜細胞を分離した。洗浄後ヒト顆粒膜細胞浮遊液を作成し、細胞濃度を調整して10%FCSを含む培養液にて5%CO2インキュベーター内に無菌的に培養した。2.hCG投与による培養液中のプロゲステロン産出量の検討:体外受精前にhCGを投与されており、hCG非投与群でも顆粒膜細胞が黄体化していると考えられ、プロゲステロン分泌が認められた。一方hCGを50、500mlU/ml投与した群では、添加後1〜2時間後に非投与群に比べて約2〜3倍の分泌量となり、有意に分泌が促進された。3.ラット黄体細胞退縮過程におけるアポトーシスの関与の確認:ラット黄体細胞のprimary cultureでは黄体退縮を惹起するプロスタグランジンF2αの投与により、抽出されたDNAの電気泳動でDNAの断片化が観察された。4.培養細胞へのサイトカイン投与実験:IGF-I、EGFなどのサイトカイン投与群ではプロゲステロン分泌が亢進し、TGFβ、IL-1β、TNFαなどのサイトカイン投与では低下する傾向を示した。またin situ DNA3'-end labelling法によるアポトーシスの出現の観察ではプロゲステロンの分泌抑制と相関する可能性が示唆された。
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