1998 Fiscal Year Annual Research Report
三次元培養法を用いた新たな抗癌剤感受性試験法の開発-新規抗癌剤への臨床応用とその実用化を目指して-
Project/Area Number |
10770853
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
中田 さくら 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (20276330)
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Keywords | 感受性試験 / HDRA / CDDST |
Research Abstract |
当研究室においては、生体内と同様の三次元構築を維持した組織片培養を用いた感受性試験法(Histoculture drug response assay=HDRA法)を開発し、その実用性につき検討してきた。現在までに当院およびその関連施設において手術を施行した卵巣癌159例につきHDRA参施行したところ判定可能率は96%と高率を示した。そのうち術後に測定可能病変を有し、かつCDDPを含む化学療法を施行した16例について臨床効果予測に関わる各種パラメータを求めたところ、真陽性率は88%、正診率は96%と高値を示した。しかし、HDRA法では着色薬剤には適用に難があること、臨床奏効度よりカットオフ濃度を求めることから新規薬剤には適用できないことが問題となってきた。そこで、コラーゲン・ゲル・ドロップ内に腫瘍細胞を包埋し、生体内と類似の構築を保ちつつ培養を行う新たな方法(Conagen gel droplet embedded culture drug sensitivity test:CDDST法)を導入し、より有効な方法の確立をめざし、感受性試験を行った。現在、卵巣癌18例、子宮体癌10例につき本法を施行し、CDDPのみならずTaxolやSN-38などの新規抗癌剤も含めて感受性試験を施行している。また、卵巣癌は、発見時には進行癌であることが多く、胸・腹水の大量貯留や全身状態不良により腫瘍減量手術が不可能で、組織診断が得られず、抗癌剤の選択に苦慮する例も少なくない。そこで、かかる症例に対し、胸・腹水の癌細胞を用いてCDDST法を試みた。胸水2例、腹水6例施行したところ、癌細胞の増殖がみられ、感受性の測定が可能であった。今後はCDDST法を胸・腹水中の細胞検体に対しても施行し、基礎データを蓄積していく予定である。
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