1998 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト培養鼻腺細胞での電位依存性クロライドチャネルの発現抑制
Project/Area Number |
10770865
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大島 猛史 東北大学, 医学部, 助手 (40241608)
|
Keywords | 鼻腺 / クロライドチャネル / CIC-3 |
Research Abstract |
電位依存性クロライドチャネルはまだその機能が十分にわかっていない蛋白であるが、その遺伝子異常に起因するいくつかの遺伝疾患が報告されその重要性が認識されている。ヒト鼻組織にてClC-3が比較的多量に発現していることをRT-PCR法により調べたが、その局在についてはあきらかでなかった。本研究(平成10年度)では、電位依存性クロライドチャネルClC-3に対するポリクローナル抗体はC末端細胞質内ドメイン15残基に対する合成ペプチドをウサギに免役することにより作製した。ELISA法により十分に抗体価の上昇がみられたのを確認した。ヒト下甲介粘膜および篩骨洞粘膜を採取し、4%パラホルムアルデヒドにて固定後、凍結切片を作製、抗ClC-3抗体を用いた蛍光抗体法によりClC-3の局在を検討した。ClC-3は鼻粘膜中では、粘膜下鼻腺組織に局在し、表面上皮や血管、結合組織には存在しないことがわかった。粘膜下鼻腺組織の中でも、漿液腺、導管細胞に局在し,粘液腺にはみられなかった。この局在パターンは別のクロライドチャネルCFTRと類似しており非常に興味深い。ただし、CFTRは細胞膜頂膜面に存在しクロライド分泌に関与していると考えられるが、ClC-3では一部、細胞膜の側底面も染色されたが、主に細胞質内にびまん性に蛍光が観察され、このチャネル蛋白は鼻腺におけるクロライド分泌に関与するというよりむしろ分泌顆粒の生成およびリサイクルに重要な働きを持っているのではないかと示唆された。
|