1998 Fiscal Year Annual Research Report
日常外来診療中やベッドサイドでも短時間に行える定量的な平衡機能検査の開発
Project/Area Number |
10770883
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
船曵 和雄 京都大学, 医学研究科, 助手 (00301234)
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Keywords | 平衡機能 / 検査 / めまい |
Research Abstract |
本年度はすでに開発した眼球記録カメラを改良し、2枚のミラーを使って潜望鏡の様な形で前方の視野を確保した新しい眼球運動記録カメラを開発した。これを用いて前庭眼反射とその固視抑制を観察、記録した。また点指標が水平に約0.3Hzで動く画面を録画したビデオテープを作製し、これを再生することで定量的な視刺激を行えるようにした。この刺激と得られた眼球運動の結果から滑動性眼球運動の利得をコンピュータ上で解析できるようにした。そして電気眼振計をもちいた精密平衡機能検査のなかで滑動性眼球運動、視運動性眼球運動、温度刺激眼振の固視抑制に異常の見られたことで中枢性めまい症例と診断した症例5例と、メニエール病などの末梢性めまい症例、また10例の正常例について上記システムを用いて前庭眼反射、前庭眼反射の固視抑制、滑動性眼球運動を測定した。その結果、末梢性めまい症例では正常例に比して、前庭眼反射の利得が低下し、かつ回転方向による利得の差が大きかったが中枢性めまい症例ではこれらの項目は正常例と有意差はなかったこと、また滑動性眼球運動の利得は末梢性めまい症例では低下していなかったが、中枢性めまい症例では有意な低下がみられたこと、さらに前庭眼反射の固視抑制も末梢性めまい症例では異常がみられなかったが、中枢性めまい症例では障害されていたことがわかった。以上より、上記システムを使った短時間の眼球運動の観察が、従来1-2時間を要していた精密平衡機能検査で得られる情報をかなりの部分で代用できること、またこのことからめまい症例の病巣診断が迅速かつ定量的に行えることがわかった。上記結果を平成10年11月に行われた日本平衡神経科学会で報告した。また上記システムをもちいて解析した前庭木管拡大症例での前庭機能について平成11年2月アメリカ基礎耳鼻科学会で報告した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kazuo Funabiki,Yasushi Naito Keiji Matsuda,Iwao Honjo: "A New Vestibulo-ocular Reflex Recording System Designd for Routine Vestbular clinical use." Acta Otolaryngol(Stockh). (in press). (1999)