1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770899
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
近藤 広子 名古屋市立大学, 医学部, 助手 (30295604)
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Keywords | 嗅覚検査 / UPSIT / T&T法 / 嗅覚障害 |
Research Abstract |
米国で開発された嗅覚識別検査冊子UPSIT(The University of Pennsylvania Smell Identification Test)は、40嗅素を用いた非侵襲性で簡単な検査冊子で客観性・再現性も高い.使用している嗅素・選択肢に日本人に馴染みがないものも含むが、日本人の嗅覚検査としても有用であることを先に証明した.そこで次に手術を行った慢性副鼻腔炎患者の嗅覚機能の改善を、UPSIT及び日本で開発・使用されているT&Tオルファクトメトリー(T&T法)を用いて調べ、UPSITの臨床応用について検討した. 手術を施行した21才から60才の慢性副鼻腔炎患者37名に対し、手術後にUPSIT及びT&T法を施行した.手術後にUPSIT、T&T法ともに有意な嗅覚機能の改善が認められた(p<0.001).術後の嗅覚改善の程度には差が見られ、正常域まで改善する良好群と改善が正常域まで達しない不良群があり、その背景因子として、年齢・喫煙習慣・過去の手術既往の有無が考えられた.UPSITはT&T法よりもこれら因子との相関がはっきり現れた.また正常者で正答率が低かった10嗅素を除外して30嗅素で検討を行っても同様の結果が得られた. T&T法は閾値検査であるが閾値の決定は被検者の自己申告によるため、客観性が低い.UPSITは識別検査であるが閾値検査とよく相関するとの報告があり、また四者択一方式を採用しているため客観性の高い検査法である.T&T法より被検者の主観が入りにくいため種々の因子の影響がはっきり現れたと考えられる. 以上よりUPSITは日常臨床でも十分使用可能であり、T&T法よりもむしろ鋭敏かと思われた.
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