1998 Fiscal Year Annual Research Report
中耳真珠腫の上皮増殖機序の解明-サイトカインネットワークと細胞周期よりの検討-
Project/Area Number |
10770908
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Research Institution | Jikei University School of Medicine |
Principal Investigator |
田中 康広 東京慈恵会医科大学, 医学部・耳鼻咽喉科, 助手 (40266648)
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Keywords | interleukin-1(IL-1) / keratinocyte growth factor(KGF) / cyclin dependent kinase2(cdk2) / cyclin dependent kinase4(cdk4) / cyclinD / 中耳真珠腫 / 細胞周期関連物質 |
Research Abstract |
本年度は中耳真珠腫の上皮増殖に関し、主に細胞周期関連物質の観点より検討を行った。真珠腫上皮と外耳道皮膚において細胞増殖に関連する細胞周期関連物質であるcyclin dependent kinase 2(cdk 2),cdk4およびcyclinDの発現を免疫組織学的に検討したところ、真珠腫上皮ではその発現が冗進している結果を得た。このことは細胞周期関連物質が細胞周期の進行に関与し、細胞増殖を導いているものと考えられた。真珠腫において上皮下の炎症が強い部位においてその発現の亢進が認められたことより、上皮下に存在する何らかの因子の関与が推測された。これらの細胞周期関連物質の発現を規定する因子として、上皮下に存在するサイトカインであるinterleukin-1(IL-1)およびkeratinocyte growthfactor(KGF)に注目した。ともに炎症によりその発現の亢進が認められるため、これらのサイトカインの影響を培養ケラチノサイトを用いて検討を行った。ケラチノサイトを培養し、無血清培地に移したのち、IL-1及びKGFを付加し、培養細胞中のcdk 2およびcdk 4をWestern blottingを用いて比較検討した。その結果、KGFの付加により、cdk 2およびcdk 4の発現は著明な亢進を認めており、またIL-1でもcdk 4の発現の亢進が認められた。以上の結果より、真珠腫においてはサイトカインネットワークを介し細胞周期関連物質の発現が亢進し、細胞周期を進行させることにより細胞増殖を導くものと考えられた。現在も他の細胞周期関連物質の発現と細胞増殖への関わりについて研究中である。
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Research Products
(1 results)