1999 Fiscal Year Annual Research Report
頭頸部領域腺様嚢胞癌の臨床的悪性度を類推する細胞内因子についての臨床病理学的研究
Project/Area Number |
10770916
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
千々和 秀記 久留米大学, 医学部, 助手 (80279223)
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Keywords | 腺様嚢胞癌 / AgNOR / 口腔 / 咽頭 / S-100 protein / p53 / 組織学的grade |
Research Abstract |
昨年提示した久留米大学耳鼻咽喉科とその関連施設でこれまで行った口腔咽頭領域の腺様、嚢胞癌64例(原発部位・口腔19例、顎下腺19例、耳下腺17例、舌下腺1例、上咽頭5例、中咽頭3例;TNM別:T1/12例、T2/23例、T3/16例、T4/10例、N0/58例、N1/5例、N2/1例、M0/57例、M1/7例)を対象に、引き続き臨床経過の検討と免疫組織学的検討を行った。癌抑制遺伝子であるp53の陽性率は約60%であったが、S-100 proteinに対する抗体で染色される細胞(いわゆるLangerhans細胞)平均値は極めて低かった。 一方、好銀染色によって検索したArgirophilic Nucleolar Regions(AgNOR)の算定(各癌組織を用いて癌細胞100個の核内AgNORs dotをカウントし、平均値を算定)を対象患者の臨床結果と比較した。ちなみに対象患者の5年生存率は74%、10年生存率は48%であった。Stage別では5年生存率は、Stage Iが83%、Stage IIが88%、Stage IIIが69%、Stage IVが31%であった。 AgNORの数は局所再発、リンパ節再発、遠隔転移の有無で、有意差をみとめなかった。しかし、組織学的grade分類ではgrade Iは12例で3.03、grade IIは18例で3.24となり、grade IとgradeIII、grade IIとgradeIIIの間で1%の危険率で有意にgradeIIIで多くAgNORのdotを多く認めた。従ってAgNORと組織学的gradeの相関が認められ、AgNORが臨床的悪性度を類推する細胞内因子の1つと推察された。一方、局所生体防御能を示すLangerhans細胞の出現は少なく腺様嚢胞癌は、局所反応の少ない、slowly progressing malignant tumorであることが示された。現在これらを総合的に解析している。
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