1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症における血管壁透過性亢進とタイト結合構成蛋白の発現調節の関連
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10770937
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山中 一郎 九州大学, 医学部, 助手 (30294945)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / 血管壁透過性 / 閉鎖帯 / 血管内皮増殖因子 |
Research Abstract |
1. 研究の背景 閉鎖帯(tight junction;TJ)は、血管内皮細胞において水溶性小分子に対するバリアーとして機能し、血管壁の透過性を制御している。近年、数種類のTJ関連蛋白が同定され、内在性膜蛋白であるocc1udin、TJ膜裏打ち蛋白であるZO-1,ZO-2,ZO-3,7H6などが一つの複合体となりTJを形成していると考えられている。私は、糖尿病網膜症における血管壁の透過性亢進とTJの発現調節の関連を検討するため、まず網膜におけるTJ関連蛋白の局在を調べ、さらに培養網膜血管内皮細胞におけるその発現を検討し、培養細胞においてもTJが形成されるかを調べた。 2.研究の方法 Wistarラットを過麻酔後に眼球を摘出、凍結切片を作製し、様々な抗TJ関連蛋白に対する抗体を用いて免疫染色を行った。ウシ網膜血管内皮細胞を単離培養し、組織片と同様に免疫染色を行った。また、培養血管内皮細胞から得られたサンプルを用いてWestern blotを行った。 3. 結果(in vivo)抗occludin、抗ZO-1抗体による特異標識は、網膜血管内皮細胞、網膜色素上皮細胞に認められた。さらに、抗ZO-1抗体による標識は、網膜外境界膜にも認められた。(in vitro)網膜血管内皮細胞の細胞接着部位に抗occludin、抗ZO-1抗体による標識が認められた。二重染色上、二つの抗体による特異標識はほぼ重なり、二つのTJ関連蛋白が共存していることが示唆された。Western blotでは、occludinは65kD.ZO-1は220kDに認められ、培養血管内皮細胞においてもTJ関連蛋白の発現が確認された。 4. 結論および今後の研究の展開 生体内の網膜血管および培養網膜血管内皮細胞において、少なくとも二つのTJ関連蛋白が発現し、血管壁のバリアー機能に関与していた。今後は、この培養網膜血管内皮細胞に、糖尿病網膜症の進展に重要な増殖因子であるVEGF/VPFを投与し、TJ関連蛋白の量あるいは質的変化を検討し、糖尿病網膜症における血管壁透過性亢進の機序を解明したい。
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Research Products
(1 results)