1998 Fiscal Year Annual Research Report
角膜におけるプロスタグランジン産生の調節機構,細胞内情報伝達経路に関する研究
Project/Area Number |
10770952
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
山田 昌和 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50210480)
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Keywords | アラキドン酸 / シクロオキシゲナーゼ / プロテインキナーゼC / プロスタグランジン / チロシンキナーゼ |
Research Abstract |
プロスタグランジン(PG)合成酵素であるシクロオキシゲナーゼ(COX)には,正常状態で存在するCOX1と種々の刺激で誘導されるCOX2の2つのサブタイプが存在する。ラット角膜を用いてCOX2を誘導する細胞内情報伝達経路としてプロテインキナーゼC(PKC)とチロシンキナーゼ(TK)について検討した。実験にはラット角膜片を用い,各種薬剤を含む培養液中で6時間器官培養し,上清中のPGE_2をEIA法を用いて測定した。PKCのactivatorとしてphorbol ester(PMA),inhibitorとしてstaurosporineを,TKのactivatorとしてEGF,inhibitorとしてAG-494を用い,COX1,COX2の選択的阻害剤として各々,Valeryl salicylate(VSA)とNS-398を用いた。 ラット角膜のPGE_2産生量はPMAまたはEGF添加により対照に比べ各々1.6倍,2.6倍に増加し,この増加は各々のinhibitorであるstaurosporine,AG-494により完全にブロックされた。VSA,NS-398のPGE2産生抑制率は対照では各々約80%と20%でCOX1優位であったのに対し,PMA,EGを添加した場合にはVSAで約20%,NS-398で約90%となり,COX2優位に変化すると考えられた。外因性にアラキドン酸を添加すると,対照とPMA添加ではPGE_2産生が約60%増加したのに対し,EGFでは変化がなかった。EGFによりPLA_2活性の亢進が起こり,内因性のアラキドン酸の動員が行われる可能性があると考えられた。今後PLA_2活性の測定やウエスタンプロットなどにより検討を進める予定である。
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