1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10770954
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
加藤 卓次 順天堂大学, 医学部, 助手 (20296875)
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Keywords | エキシマレーザー / 角膜創傷治癒 / 細胞外マトリックス / コラーゲン |
Research Abstract |
我々はエキシマレーザー照射後の角膜の生体応答を明らかにする目的で家兎角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜組織を免疫組織化学的に解析した。その結果レーザー照射後の角膜では、特にその上皮下混濁部に一致してIII型及びIV型コラーゲン、コンドロイチン6硫酸、ヒアルロン酸、ラージプロテオグリカンの発現が増加していることを見出した。更にレーザー照射に伴う角膜中のグリコサミノグリカンの変化を液体高速クロマトグラフィー(HPLC)を用いて定量的に解析した結果、術後10日から30日にかけてコンドロイチン6硫酸とヒアルロン酸が有意に増加していることを明らかにした。HPLCの結果は免疫染色の結果と一致し、また臨床的に観察される角膜混濁の発生時期とよく相関していた。更に従来の報告から明らかにされていたレーザー照射後にデスメ膜に沈着する物質の本態をを明らかにする目的で、角膜組織の超薄切片に対して各種の組織外マトリックス成分の抗体を用いて免疫電子顕微鏡の手法で観察した。その結果、レーザー照射後にデスメ膜に沈着する物質はVI型コラーゲンから構成されることを明らかにした。更にこの現象をmRMAレベルで分析するために、競合的RT-PCRを用いてレーザー照射後の角膜内皮細胞の産生するVI型コラーゲンのmRNAを半定量的に解析した。角膜内皮はレーザー照射に対するストレス応答としてVI型コラーゲンを産生し、mRNAレベルではレーザー照射後3日から7日にかけて有意に上昇していた。 以上の結果はエキシマレーザー照射による角膜の生体応答に関する新知見であり、臨床的に生ずるレーザー照射後の角膜混濁の病体生理を理解する上で重要な知見であると考えられる。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] 中安清夫・加藤卓次他: "エキシマレーザー表層切除家兔角膜の創傷治癒に関する長期観察" 日本眼科学会誌. 103. 99-107 (1999)
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[Publications] Kato.T: "Analysis of glycosamiroglycans in rabbit Cornea after excimer" luser keratectomy / Brit J ophthalmol. (in press).
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[Publications] 加藤卓次: "屈折矯正手術-エルビウムマグレーザー" 六法出版社, (1999)
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[Publications] Nakayasu K, Kato T: "Current opinions in the Kyoto Cornea Club" Klugler Publications, (1999)