1999 Fiscal Year Annual Research Report
角結膜の腫瘍性病変に感染する未知のヒトパピローマウイルスの検出・同定
Project/Area Number |
10770956
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Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
熊倉 重人 東京医科大学, 医学部, 助手 (90271296)
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Keywords | Human Papillomavirus / 結膜腫瘍 / 角膜腫瘍 / PCR / 塩基配列解析 / Carcinoma in situ / Squamous cell papilloma |
Research Abstract |
ヒトパピローマウイルス(MPV)は角結膜の腫瘍性病変を引き起こすことが知られており,角膜の腫瘍性病変から数種類のHPVが検出されている.当眼科学教室の過去5年間に組織標本が得られた角結膜の腫瘍性病変を対象にしてHPVのL1遺伝子の一部(約450塩基)をPCR法で増幅し,その塩基配列を解析した結果,squamous cell papillomaの7例中3例からHPV11型が検出され,carcinoma in situの2例中1例からHPV16型が検出された.また、もう一つのcarcinoma in situからは未知のHPVと考えられるPCR産物が検出された. これらに対しL1遺伝子全体の検出・解析とin situ hybridizationによる組織標本中のHPVの存在の確認を行ったところ,まず,前回HPV11型が検出された3例のL1遺伝子全体は既知のHPV11型と100%の相同性を有し,3例ともin situ hybridizationによりHPV11型が標本組織中に存在することが確認された.また,前回HPV16型が検出された1例のL1遺伝子全体は既知のHPV16型と99%の相同性を有しており,この検出されたHPV16型の標本組織中の存在がin situ hybridizationにより確認された.さらに,前回carcinoma in situから検出された未知と考えられるHPVに関しては,未知のHPVと近縁関係にある(塩基配列の相同性の高い)既知のHPVのL1遺伝子全体を,多数の型の間で保存されている領域と,この未知のHPVに関してすでに塩基配列の解析されている450塩基の中からプライマーを作成し,全体を4つの部分に分けてPCRを行ったその結果,増幅された4つの部分をつなぎ合わせると,未知のHPVのL1遺伝子全体は既知のHPV36型と71%の相同性を有していた.このようにしてPCRにより新しい型のHPVのL1遺伝子全体が解析できた.現在,L1遺伝子全体をプローブとして用いたin situ hybridizationにより組織標本中の新しい型のHPVの存在を検討中である.
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