1998 Fiscal Year Annual Research Report
有限要素法を用いた皮膚縫合創および局所皮弁の3次元的解析
Project/Area Number |
10770978
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
水沼 雅斉 順天堂大学, 医学部, 助手 (80245753)
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Keywords | 有限要素 / dog ear / 変形 / 局所皮弁 / 3次元 / 紡錘型 / S型 |
Research Abstract |
今年度に行った研究によって得られた新たな知見等の成果 従来まで形成外科手術においてdog earに代表される縫合後の変形をいかに少なくするか、また緊張の少ない安定した局所皮弁をいかに作成するか、という問題点を解析するためペーパーモデルなどが用いられてきた。一方有限要素法は医学分野において、皮膚のような薄い弾性体での応用は少なく、また皮膚での3次元的応用は皆無であった。本研究では京都大学再生医科学研究所シュミレーション医工学分野と協力し、有限要素法を用いて皮膚変形の解析を行っている。解析にはCOSMOS/M(version1.75,SRAC社,Los Angels)を用いた。 3次元的解析を行うため変形が深層に突出しないように、皮膚モデルの深層に滑り境界界面(GAP)を設置した。より精密な解析を行うために有限要素のshell要素を3角形から4角形にした。従来は2点間の縫合を強制変位や2点牽引力の盲目的釣り合わせで行っていたものを、より生体に近づけるために縫合する2点間距離を力学的に収縮させるよう工夫した。 以上の条件により今年度は円形の皮膚腫瘍切除時のモデルを作成した。それは従来より形成外科手術領域では、経験的に紡錘型皮膚切除の際にS状にデザインするとdog ear変形が少ないといわれており、それを解析するためである。そのために紡錘形を(1)基本型(2)S型(3)比較のための内側突型と3種類設定した。それらのモデルでは円形の腫瘍の直径と紡錘形の皮膚切除の長さの比を3:7とした。それらを解析した結果、(2)S型でdog ear変形が最も少ないことがわかった。これは臨床とも一致する結果である。 来年度はその結果をより綿密に考察し、さらに現在開発中の緊張が少なく安定した新しい局所皮弁をまずは2次元で解析する。またそれらの結果を形成外科の専門誌に投稿発表する予定である。
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