1998 Fiscal Year Annual Research Report
ECMゲル内ヒト皮膚由来血管内皮細胞、線維芽細胞、角化細胞三種階層立体共培養
Project/Area Number |
10770985
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
吉田 純 金沢医科大学, 医学部, 助手 (40257473)
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Keywords | 皮膚 / 肉芽組織 / 肥厚性瘢痕 / 線維芽細胞 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 |
Research Abstract |
皮膚モデルおよび創傷モデルの開発に先立ち,実際の組織内と培養条件下での細胞形質の相違について比較検討した.比較の対象は正常皮膚,肉芽組織,肥厚性瘢痕内の線維芽細胞およびそこから単離した培養線維芽細胞とし,主に塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)の発現を比較した。線維芽細胞を抗bFGFモノクローナル抗体で染色すると主として核が染色されるが,肉芽組織や肥厚性瘢痕に対するbFGFの免疫組織学的染色では正常皮膚に比べ線維芽細胞の核は強く染色された。これに対し各組織からの培養線維芽細胞では,いずれも同じように核の濃染を認めた。一方,ラジオイムノアッセイ法により各培養線維芽細胞のFGF含量を比較したところ,肉芽組織由来細胞で932ng/10^7cells,肥厚性瘢痕由来細胞で1183ng/10^7cellsであったのに対し,正常皮膚由来細胞では286ng/10^7cellsと有意にFGF量が少なかった。また,RT-PCR法による培養線維芽細胞のbFGFmRNA発現レベルの比較では,正常皮膚由来細胞は他の組織由来細胞に比べ低値であった。以上のことから正常皮膚の線維芽細胞は肉芽組織や肥厚性瘢痕の線維芽細胞に比べ,組織内と培養条件下のいずれにおいてもbFGFの発現が少ないと推測された。一方,正常皮膚の線維芽細胞は組織内から培養条件下におかれると核が強く染色されるようになることから.培養条件下に置かれることでbFGFの発現は増加するものと考えられた。現在これらの結果をさらに詳しく検討するためin situ hybrydizationによるbFGF mRNAの観察を計画している。
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