1999 Fiscal Year Annual Research Report
歯肉線維芽細胞にIL-6とIL-8を誘導するマイコプラズマ由来物質の精製と性状
Project/Area Number |
10770986
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
長谷部 晃 北海道大学, 歯学部, 助手 (90281815)
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Keywords | IL-6 / Mycoplasma salivarium / 細胞内成分 / Mycoplasma fermentans / 培養上清 |
Research Abstract |
〈平成10年度〉 ヒト正常歯肉線維芽細胞にInterleukine-6(IL-6)を誘導するMycoplasma salivarium(Ms)由来の物質の性状について新たに得られた知見は以下の通りである。 1 Ms由来物質(MsA)はMs細胞内に存在するタンパク性の物質であり、熱処理を行っても活性が30%以上残っている。 2 DEAE-sephacelによるイオン交換クロマトグラフィーにより、MsAは、arginine deiminaseとは明らかに異なる物質であるということがわかった。 3 さらにCM-sepharose、DEAE-sephacelと、カラムを変えて精製を行った結果、比活性にして30倍以上に達するサンプル(MsA)が得られた。 4 MsAのSDS-PAGEを行うと、20.6キロダルトンのメジャーなバンドと2本のかすかなハンド(82.5キロダルトンと40.5キロダルトン)が観察された。 5 MaAでTHP-1を刺激したところ、TNF-α、IL-1β、IL-6の産生誘導は見られなかったため、MsAはこれまでに報告されている物質とは異なっている。 6 MsAの活性はグラム陰性菌のLPSと異なり、血清の非存在下でも失われることがなかった。 〈平成11年度〉 ヒト正常歯肉線維芽細胞にIL-6を誘導する物質が、Mycoplasma fermentans(Mf)培養上清中に存在し、その物質について得られた知見は以下の通りである。 1 Mfのcfu/mlの増加に伴い、Mf培養上清のIL-6産生誘導活性レベルは上昇し、cfu/mlの減少後も安定していた。 2 培養上清のゲル濾過クロマトグラフィーでは活性が分散し、proteinaseK処理後も活性が完全に消失することはなかった。 3 培養上清のproteinaseK処理後、HPLCの逆相クロマトグラフィーにより多くの活性が親水性のひとつのピークに見られた。 4 3で得られたピーク(Fraction A)はTHP-1にTNF-α、IL-1βの産生を誘導した。 5 Fraction Aの活性はPolymyxin Bで阻害されなかったので、LPSとは異なる物質が活性を担っていることがわかった。
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[Publications] 長谷部 晃、他4名: "ヒト歯肉線維芽細胞にIL-6を誘導するMycoplasma salivarium由来物質の精製と性状"日本マイコプラズマ学会雑誌. 25. 103-105 (1998)
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[Publications] 柴田健一郎、他8名: "Detection of Mycoplasma fermentans in saliva sampled from infants, preschool, and school children, adolescent and adults by a polymerase chain reaction based assay"Microbiol. Immunol.. 43・6. 521-525 (1999)
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[Publications] 長谷部 晃、他4名: "Partial purification and characterization of the active entity responsible for inducing interleukin-6 production by human gingival fibroblasts from Mycoplasma salivarium cells"Microbiol. Immunol.. 43・11. 1003-1008 (1999)