1998 Fiscal Year Annual Research Report
ビリダンスレンサ球菌菌体表層抗原の分子遺伝学的解析
Project/Area Number |
10771000
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
高橋 幸裕 日本歯科大学, 歯学部, 講師 (00281436)
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Keywords | Streptococcus gordonii / レクチン様抗原 / 遺伝子クローニング / シアル酸 / 口腔レンサ球菌 |
Research Abstract |
Streptococcus gordonii DL1株は赤血球凝集能を持ち、それはN-アセチルノイラミニルα2-3ガラクトピラノースを末端に持つ糖蛋白に特異的に結合するレクチン活性によることが明らかにされており、それに関連していると思われる抗原(Hs抗原)が既に分離・精製されている。また、本菌の遺伝子ライブラリを、ベクターとしてpUC系プラスミド、ホストとして大腸菌を用いて作製し、Hs抗原に対する抗体を用いてライブラリのスクリーニングを行い、Hs抗原をコードしていると思われる遺伝子のクローンが得られている。しかし、Hs抗原はDL1株からの精製の過程でそのレクチン活性を失い、クローンの発現産物にもその活性は認められないことから、このクローン化された遺伝子がHs抗原をコードしているという確証は抗体との反応以外には得られていなかった。そのため、この研究は、Hs抗原をコードしていると思われる部分の遺伝子をknock-outした変異株の分離、塩基配列決定などの更なる分子遺伝学的解析を行うことで、その結果明らかにされる分子生物学的な性質と、既に明らかになっている本抗原の生物学的活性・免疫化学的性質との因果関係を解明することを目的として行った。まず、上記クローンのdeletion mutantを作製し、ウェスタンブロット法を用いて、発現産物の有無とサイズを比較検討し、オープンリーディングフレームの位置と方向を推定した。次に、DL1株染色体DNAの前記オープンリーディングフレームに相当する部分をinsertional inactivation法を用いてknock-outした変異株を分離した。その変異株は赤血球凝集能を欠き、またHs抗原に対する抗体で凝集されないことが確認された。なお、これらの実験と並行してこの遺伝子の塩基配列決定を試み、これまでに推定上の上流側から約3.5kbの塩基配列を決定した。現在残りの部分の塩基配列決定を続行中である。
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