1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨髄由来巨核球の分化成熟過程におけるトロンボポエチン受容体発現機構の解析
Project/Area Number |
10771001
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
春原 正隆 日本歯科大学, 歯学部, 助手 (70287770)
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Keywords | 巨核球 / トロンボポエチン / トロンボポエチン受容体 |
Research Abstract |
我々は、非常に困難とされてきたヒト巨核球系細胞株CMK(Blood,74:42-48,BriJHaematol,72:184-190,1989)の樹立に世界で初めて成功した。米国ジェネンティック社は、我々と共同で、CMK細胞にc-mpl遺伝子[トロンボポエチン(TPO)受容体]が発現していることを利用し、世界に先駆けてTPOの発見とその遺伝子の単離に成功した(Nature369:533-538,1994)。また,Kaushanskyらにより、マウスTPOが、CMKの分化誘導を行うことが示され、さらにTPOがendolnitosisをも惹起する強力な分化誘導因子であることが判明した(Nature369:568-571,1994)oそこで、CMK細胞を用いて,TPO分化誘導時におけるc-mpl遺伝子mRNAおよびc-Mpl蛋白質発現状況の経時的変化,c-mpl遺伝子プロモーター活性の変化を解析し,巨核球分化成熟過程におけるTPO受容体発現機構の解析および分化誘導時における形態的変化について検討を加えることを目的とし研究を行った。TPO処理によるc-Mpl発現状況の経時的変化は,免疫沈降法を用いた実験により,TPO処理後3時間よりダウンレギュレーションが認められた。また,c-mpl遺伝子mRNAは,RT-PCR法を用いて半定量的に経時的変化を調べたところ,TPO処理後6時間に増加傾向を示し,TPO処理後9時間で最大となり,以降TPO処理前の発現量に回復した。これは,c-Mplのダウンレギュレーションがc-mpl遺伝子mRNA発現量に影響を与えたものと考えられた。また,巨核球細胞表面上のc-Mpl発現状況の経時的変化に関しては,FACSによる解析が非常に困難で,米国ジェンザイム社の抗体では(市販されているのはこれだけ!)結果が得られなかったため,米国ZYMOGENETICS社に依頼した結果,FACS解析可能なc-Mpl抗体を特別に分与してもらえることになった。今後は,この抗体を用いて巨核球細胞表面上のc-Mpl発現状況の経時的変化を解析し,さらに,TPO分化誘導時におけるc-mpl遺伝子プロモーター活性の経時的変化の解析を行ない,上記の結果をふまえて巨核球分化成熟過程におけるTPO受容体発現機構の解明を行なう予定である。
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