1998 Fiscal Year Annual Research Report
P.gingivalis短線毛の遺伝子クローニングとその機能に関する研究
Project/Area Number |
10771006
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
浜田 信城 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (20247315)
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Keywords | Porphyromonas gingivalis / 線毛 |
Research Abstract |
Porphyromonas gingivalisの菌体表層に存在する線毛(fimbriae)については、歯周病との関わりとその役割が解明されつつある。我々も、本線毛の役割を明らかにする目的でP.gingivalis ATCC33277株を用いて線毛遺伝子の不活化を試み、線毛の主要構成タンパク質(fimbrillin,FimA)である41kDaタンパク質を発現していない変異株(fimA mutant)を得た。このfimA mutantを電子顕微鏡で観察すると親株に存在する長い線毛構造物の消失が確認されたが、親株の線毛と比較すると細く、短い線毛様構造物の存在が認められた。そこで、本年度はfimA mutantに存在するこの短い線毛様構造物の精製と性状の検索を試みた。 fimA mutantからの線毛の精製は、BHI液体培地にヘミン、ビタミンK1及びイーストエキストラクトを添加した培地で一昼夜嫌気培養し、菌体を5分間超音波処理後、遠心し、その上清を硫安塩析にて粗線毛タンパク質を分画した。次いで、DEAE-Sepharose CL-6B陰イオン交換カラムクロマトグラフィーにより精製短線毛を得た。精製された短線毛のSDS-PAGEによる推定分子量は67kDaであり、従来報告されている線毛の分子量とは明らかに異なっていた。また、本線毛タンパク質とFimAタンパク質を比較したところ抗原性も異なることが明らかになった。さらに、Immunogold法により、本短線毛はfimA mutantだけでなく親株にも存在することが判明した。以上の結果からPorphyromonas gingivalisにおいて2種類の異なった線毛が同時に発現していることが確認された。
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