1998 Fiscal Year Annual Research Report
骨芽細胞においてエストロジェン依存的に転写制御を受ける遺伝子群の解析
Project/Area Number |
10771008
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
石橋 宰 新潟大学, 歯学部, 助手 (70293214)
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Keywords | エストロジェン / c-tos / プロモーター / タモキンフェン / 骨芽細胞 / ルシフェラーゼアッセイ |
Research Abstract |
我々はそれぞれマウスとラットの骨芽細胞様細胞株であるMC3T3-ElおよびROS17/2.8を用いて、Estrogenがc-fos遺伝子発現に及ぼす影響をルシフェラーゼアッセイにより検討した。これらの細胞にERαを強制過剰発現させた場合、17α-Estradiol(αE)、17β-Estradiol(βE)、Tamoxifen(Tam)はすべてc-fos遺伝子プロモーターを同程度に活性化した(約2〜3倍)。一方、ERβを強制過剰発現させた場合、TamはMC3T3-Elにおいて同プロモーターの活性を有為に上昇させた(約8倍)が、αE、βEは有為な作用を示さなかった。なお、このTamの作用は用量依存的であり、また処理時間を9時間以下に短縮した場合には有為な効果は認められなかった。同様な活性化は、MC3T3-Elに比べ程度は弱いがROS17/2.8においても認められた。この現象についてさらに調べるため、c-ros遺伝子プロモーター領域の5'側の配列を欠落させたレポータープラスミドを作製し、ERβ発現プラスミドと共にMC3T3-Elにトランスフェクトした。その結果、-404〜-306の領域を欠失させても全く影響がなかったが、-206より5'側を欠失させた場合、プロモーター活性は著しく減少し、Tam特異的な反応も消失した。このように、骨芽細胞様細胞において、c-fos遺伝子の発現はERβを介してTamによる特異的な正の制御を受けることが示された。これは、骨組織においてTamがアゴニストとして働くという知見を考え合わせると興味深い。また種々の長さのプロモーターを解析した結果、-307〜-206の領域に転写活性およびTamに対する応答に重要な部位が存在することが示唆された。このTamの作用は、比較的長い処理時間(18時間)を要したこと、および今回用いたc-fos遺伝子プロモーターにEstrogen応答配列(ERE)が存在しないことを考え合わせると、-307〜-206の領域を認識するような他のトランス因子の誘導を介する作用である可能性が高いと思われる。
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