1998 Fiscal Year Annual Research Report
口腔組織(歯・舌・唾液腺)発生におけるサチライシン様プロ蛋白質変換酵素の役割
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10771013
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
赤松 徹也 徳島大学, 歯学部, 助手 (80294700)
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Keywords | サチライシン様プロ蛋白質変換酵素 / in situハイブリダイゼーション / 口腔組織 / 発生 / 歯牙形成 / 骨形成蛋白質 / プロセシング |
Research Abstract |
本研究では口腔組織の形態形成及び機能発現におけるサチライシン様プロ蛋白質変換酵素(SPC)の生理機能番解明するため,まず歯,舌,唾液腺の発生・分化過程でのSPCの発現をin situハイブリダイゼーションを中心に解析した.特に、遺伝子の構造上発生・分化と密接に関わっていると考えられ,SPCファミリーの中でも生理機能の解明が遅れているSPC4(PACE4)について詳細に解析した.その結果,歯,舌,唾液腺いずれの原基においても発現が認められた.この中でも歯の形成においてはTGFβファミリーに属する骨形成蛋白質群(BMPs)が重要な役割を果たしていることが分子レベルで解明されているが,最も重要なBMPs前駆体(不活性型)から活性型へのプロセシングに関わる酵素に関する知見は全くないことに着目して解析を進めた結果,SPC4の発現は歯の形成と密接に関わっていることが明らかになった.すなわち,歯牙形成開始初期の上皮-間葉系組織において間葉組織で強く発現し,蕾状期,帽状期,鐘状期と発生が進むにつれ歯上皮由来の内エナメル上皮/エナメル芽細胞に限局して強く発現するようになり,同時に歯間葉由来の歯乳頭から分化する象牙芽細胞にも発現し,これらの発現は生後2日目位までは増加する傾向があるが,その後は減少し低レベルでの発現が続く.この発現パターンはBMPsの発現パターンと良く一致しており,他のSPCファミリーは発現は認められるものの発生過程とは無関係にほぼ一定レベルで発現しているようである(現在解析中).SPC4とBMPsとの共存関係は以前、肢芽形成過程においても報告されており,最近報告された培養細胞でのSPC4とBMP4の共発現実験でBMP4が非常に効率良く活性化されるという事実からもSPC4が歯牙形成時における最も有力なBMPsのプロセシング酵素であると考えられた.
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