1998 Fiscal Year Annual Research Report
静脈内投与したプロポホールがラット側坐核ドパミンならびにGABA遊離に及ぼす効果
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10771021
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
三枝 禎 日本大学, 歯学部, 助手 (50277456)
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Keywords | 静脈麻酔薬 / プロポホール / ドパミン / 側坐核 / GABA / 脳微少透析法 |
Research Abstract |
静脈麻酔薬のプロポホールは,麻酔臨床で多用されているが,その作用機序の全容は未だ明らかではない。申請者の所属する研究室では,すでに,ベンゾジアゼピン系静脈麻酔薬のミダゾラムが,ラットの中脳辺縁系ドパミン性神経の終末領域である側坐核において,ドパミン遊離を減少させることを報告した。平成10年度は,プロポホールがGABA_A-ベンゾジアゼピン受容体複合体の一部に結合することが知られているので,プロポホールにも側坐核ドパミン遊離減少作用があるか否か検討を行った。側坐核のドパミン遊離の測定は,無麻酔非拘束下で脳微小透析法を用いて行った。その結果,臨床で用いられる用量の範囲において,プロポホール(2.5〜10mg/kg)の静脈内投与は側坐核ドパミン遊離を用量依存的に減少させた。その程度は5.0mg/kgでは13%,10mg/kgでは23%であったが効果のピークは,投与後約2.5〜3時間後に認められた。さらに,プロポホールが直接,側坐核のGABA遊離に影響を及ぼすか否かについての検討を行っているが,現在までのところプロポホールが側坐核の細胞外GABA量に影響を及ぼすとする知見は得られていない。 以上の結果から、プロポホールの静脈内投与により,中脳辺縁系のドパミン神経の機能低下示唆されたが,それに対するGABA神経機能の関与は少ないものと推測された。来年度はGABA遊離の測定法上の問題点も含め更に検討を加えると共に,プロポホールが麻酔臨床で麻酔臨床でミダゾラムと好んで併用されるので,それらの併用投与の側坐核ドパミン遊離に及ぼす効果についても検討を行う予定である。
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