1998 Fiscal Year Annual Research Report
X線映画法およびビデオX線透視法による嚥下検査の被曝線量-患者と術者の被曝について
Project/Area Number |
10771029
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大塚 昌彦 広島大学, 歯学部, 助手 (20233182)
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Keywords | 嚥下検査 / X線映画法 / ビデオX線透視法 / 被曝線量 |
Research Abstract |
近年の社会の高齢化に伴い、摂食・嚥下障害を持つ患者が増加しており、これを原因とする誤嚥性肺炎が高齢者の死因のひとつとして社会問題となりつつある。X線を利用した嚥下検査は誤嚥を診断するのに信頼性が高いが、嚥下検査に伴う患者および術者の被曝線量に関するデータはほとんどない。そこで今回の研究では、X線映画法およびビデオX線透視法(透視法、パルス透視法)による嚥下検査の患者被曝線量の測定をする。また、それらの条件の基で術者の被曝線量も併せて測定する。 対象は既に検査と行った嚥下機能に障害を持つ10名の患者とした。これら患者の平均的な撮影条件を調査した結果、1検査あたりの撮影は、側面7回、正面2回であった。撮影時間は、側面では91秒、正面では20秒間であった。ランドファントム内に構成したThermo-Luminescence Dosimeterを水晶体、耳下腺、顎下腺、舌下腺、甲状腺部に挿入し、測定した。 患者被曝線量は各撮影法で同様な傾向を示し、X線映画法>パルス透視法>透視法の順になり、その線量比は約6:1.5:1であった。1検査としてのX線映画法の被曝線量は、最大線量を示した耳下腺、顎下腺部で11mGy、舌下腺、甲状腺部で5〜7mGy、水晶体部で0.5mGy程度であった。術者の線量は、患者から50cmの距離で照射野内線量の1/300程度の線量であり、0.25mmPbの防護衣を着用するとその線量の1/10〜1/20になり、極めて少ない線量であった。1検査としてのX線映画法の被曝線量でも、頭部単純撮影に換算すると数枚分の線量であり、決して多い被曝線量ではない。 今後については、撮影条件とファントム厚の変化により被曝線量がどの程度異なるかを知るために基礎的な実験を行い、測定誤差要因についても検討を行う予定である。
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