1998 Fiscal Year Annual Research Report
MRI及び顎運動装置による顎変形症の三次元形態・運動総合解析システムの開発
Project/Area Number |
10771033
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
後藤 多津子 九州大学, 歯学部, 助手 (60294956)
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Keywords | 咀嚼筋 / MR imaging / 3次元 / 顎運動 / 顎変形症 |
Research Abstract |
今年度は解析システム構築を主に行い、その有用性の検討にはコントロール群となる正常者を解析した。 まず画像データと運動データを組み合わせるための各患者毎の共通マーカーの製作を行い、計測時の使用方法を確立した。次に咬合状態、顎関節に異常を認めない正常者10名を被験者とし、MRIで顎顔面を撮影した。このとき顎運動機能も解析するために、閉口、開口両状態を撮影した。その画像データをコンピュータに取り込み、各咀嚼筋をトレース、再構築した。そして筋の開閉口時における長さおよび体積を求め、かつ運動による変化を解析した。 その結果、正常者における咀嚼筋の3次元的長さ、体積データよリ各咀嚼筋の特性が明らかになった。特に開口運動において閉口筋(咬筋、内側翼突筋)では認められなかった体積変化が開口筋である外側翼突筋では有意におこった。これより体積変化が開口筋としての役割を表す客観的指標となりうる可能性が明らかになった。かつ咀嚼筋の3次元形態とその運動による変化がワークステーション(Indigo2)上で立体グラフィック表示できるようになり、筋の形態や走行を視覚的にわかりやすくとらえることが可能となった。 以上の結果は1999年3月9日からのカナダ・バンクーバーにおけるIADR(国際歯科研究学会)で発表し、同時に留学先であった当地のBritish columbia大学の恩師、Dr.Hannamらのレビューを受け、国際的視野にたった研究方法として確立させる予定となっている。 かくして咀嚼筋形態と機能を総合診断できる咀嚼筋の非侵襲的な三次元形態・運動総合的分析システムの基本構造ならびに基準となる正常者のデータがそろったところである。来年度は本年度構築した解析システムを顎変形症患者へも適応し、患者のためのシステム改造を行うとともに患者の咀嚼筋の特性を明らかにする予定である。
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