1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜における神経原性炎症の解析-特にマクロファージの動態と活性について-
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10771043
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐藤 しづ子 東北大学, 歯学部, 助手 (60225274)
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Keywords | 歯根膜 / レーザードプラー血流計 / 逆伝導性血管拡張 / 下歯槽神経 / 神経原性炎症 |
Research Abstract |
これまで、歯周炎の発現については、歯垢や歯石中の口腔細菌に主眼がおかれ、二次的原因として咬合負担などの関与が検討されてきた。しかし、最近、歯根膜に分布する多数の感覚神経が、単に感覚情報を中枢へ伝達するのみならず、末梢方向へも伝導し神経末端からのneuro peptide分泌によって積極的に炎症の発現に関与する(神経原性炎症)可能性が示唆されている。 しかし、この歯根膜の神経原性炎症の可能性については、現在皮膚などで感覚神経由来の血流増加や血漿成分漏出の確認をもとに推測されているに過ぎず、歯根膜組織自体での報告はみられない。そこで本研究は、歯根膜における神経原性炎症の可能性とその解析を目的とした。 歯根膜は周囲を歯槽骨に被覆される解剖学的特徴をもつことから、歯根膜における神経原性炎症の解析は困難とされてきた。本研究は、我々が開発した歯根膜のレーザードプラー血流計を用いた血流動態を解析する独自の手法を用い、動物実験により検討を進めた。 本年度は、神経原性炎症初期時の逆伝導性血管拡張について、(1)歯根膜における存在と(2)歯肉および歯髄と比較した歯根膜の組織的特徴について検討した。その結果, 1) 下歯槽神経の末梢性電気刺激により、ネコ歯根膜に逆伝導性血管拡張反応が生じた。この血管拡張反応は、capsaicinの神経断端塗布によっても生じ、その後のcapsaicin連続投与による感覚神経の脱分極の後、下歯槽神経を末梢性に電気刺激しても血管拡張反応はみられなくなったことから、感覚神経(polymodar-c-fiber)によることが確認された。 2) 下歯槽神経の末梢性電気刺激により、ネコ歯根膜、歯肉および歯髄に逆伝導性血管拡張反応が同時に生じた。 3) 歯根膜および歯髄の逆伝導性血管拡張反応は歯肉に比較し長時間持続した。 4) 頚部交感神経刺激による血管収縮反応は、歯根膜、歯髄および歯肉間で差はなかった。 以上の結果、歯根膜の血流反応は、歯肉よりも歯髄に類似しており、不可逆性の炎症に陥りやすい特殊性を持つことが示唆された。
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Research Products
(1 results)