1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771058
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
黒川 弘康 日本大学, 歯学部, 助手 (10291709)
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Keywords | 可視光線 / アルゴンイオンレーザー / 歯髄由来細胞 / 細胞増殖 / アルカリフォスファターゼ活性 |
Research Abstract |
光硬化材料の臨床有用性が広く認められ,深部窩洞や覆髄にも応用されるようになった。そのため,照射器からの光線が象牙質を介して,あるいは直接歯髄組織に照射されている可能性が考えられる。そこで申請者らは,照射器からの可視光線あるいは同じ可視光線領域に数本の発振線を有し,光硬化材料の重合に有効であることが判明しているアルゴンイオンレーザーを用い,これらの照射光線が歯髄におよぼす影響を検討する研究の一環として,今年度はヒト歯髄由来線維芽細胞の細胞増殖およびアルカリフォスファターゼ活性値におよぼす影響について検討した。 ヒト歯髄組織から外生した細胞群を歯髄細胞とし,2〜3代継体培養したものを96穴マイクロプレートに3×10^3個/ウエルとなるように播き,細胞がウエル底に付着した時点で,可視光線あるいはアルゴンイオンレーザーを播種面に可及的に近接させて,476.5nmの波長域で1000W/m^2の光強度になるように調整し,30,60および120秒間照射を行い,照射後14日まで各条件の細胞群の増殖およびアルカリフォスファターゼ活性を経日的に測定した。なお,細胞増殖はCell Counting Kitを用いた比色定量法によって,アルカリフォスファターゼ活性値は,プレート上で直接酵素反応を行うOhshimaらの方法に準じて測定を行った。 その結果 1.可視光線およびレーザー光線の照射は,歯髄由来細胞の細胞増殖にほとんど影響をおよぼさなかった。 2.可視光線の照射は,歯髄由来細胞のアルカリフオスファターゼ活性にほとんど影響をおよぼさなかった。 3.アルゴンイオンレーザーの照射によって,歯髄由来細胞のアルカリフオスファターゼ活性は上昇する傾向を示した。 今後,石灰化nodule形成およびタンパク質合成についても検討し,これら光線が歯髄の細胞におよぼす影響を細胞生物学的レベルで解明していく予定である。
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