1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771063
|
Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
角田 晃 神奈川歯科大学, 歯学部, 助手 (70236933)
|
Keywords | 破骨細胞 / 感染根管 / 嫌気性菌 |
Research Abstract |
本研究では感染根管内嫌気性菌が破骨細胞の分化誘導に及ぼす影響について、菌体成分を試料として破骨細胞誘導培養系に添加して検討した。供試試料は感染根管内から優勢に分離された細菌7種(P.endodontalis,B.buccae,V.parvula,St(Pst).intermedius,St(Pst).morbillorum,A.propionica,L.casei)を選択した。各菌株は超音波破砕後に上清を透析、凍結乾燥して標品とし、破砕上清中の蛋白濃度を基準にして調整した。破骨細胞の誘導は、MC3T3-G2/PA6細胞上にマウス骨髄細胞を播種して培養することにより行った。この共培養系に10、1.0、0.1μg protein/ml濃度の各種菌体破砕上清を各々添加して培養後、TRAP染色を行って破骨細胞を同定した。その結果、いずれの菌種の菌体成分による刺激においてもTRAP陽性コロニーの出現が認められた。TRAP陽性コロニー数は陽性コントロールである10^<-8>M1α,25(OH)_2D_3添加群で1dish当り43.5コロニーであったのに対し、各細菌の破砕上清0.1および1.0μg protein/ml添加群では6.7〜40.7のコロニー形成が認められた。特にV.parvula 1.0μg protein/ml添加群は1α,25(OH)_2D_3添加群と同程度のTRAP陽性コロニーの誘導能を示した。一方、10 μg protein/ml添加群においては、菌体成分無添加群より低い結果を示す場合もあり、濃度によっては破骨細胞形成の抑制傾向を示す菌種の存在も認められた。以上の結果から、根管内分離細菌の菌体成分はin vitroにおいて破骨細胞分化因子である1α,25(OH)_2D_3が存在しなくても破骨細胞の分化を支持する事が明らかになった。
|