1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771065
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
秋本 尚武 鶴見大学, 歯学部, 助手 (40184113)
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Keywords | 象牙質接着 / 長期接着耐久性 / 再石灰化 |
Research Abstract |
象牙質接着において,長期接着耐久性の劣化を起こすとされる樹脂未含浸脱灰象牙質のin vivoにおける変化について,サルの歯を用い6ヶ月間観察を行った. サルの歯に5級窩洞を形成し,2種の条件で充填を行い各観察期間終了後,超微小硬度計により樹脂含浸層付近の硬度を計測し,3次元走査電子顕微鏡による観察を,さらに元素分析を行い樹脂未含浸脱灰象牙質の再石灰化について検討を行うことを計画し,現在まで,研究計画に従い作成された各試料の接着界面における超微小硬さの測定,3次元SEMにて接着界面および凍結乾燥試料による観察が終了した.超微小硬さ測定により得られた結果から,象牙質を脱灰させ接着材を使用しなかったグループにおいて,7日後,脱灰象牙質とその界面から5μmの範囲の硬さは統計学的な有意差は認められなかった.一方6ヶ月後,脱灰象牙質の界面から5μmの範囲の硬さは,7日後と比較し有意に上昇した.また象牙質を脱灰後,接着材を使用したグループでは,樹脂含浸層直下,すなわち象牙質が脱灰され,樹脂が浸透しきれずコラーゲン繊維が露出していると考えられる部分の硬さが,6ヶ月後上昇することがわかった. SEM観察より,7日後の試料において象牙質が脱灰されコラーゲン繊維が露出していた部分が,6ヶ月後では樹脂未含浸脱灰象牙質のコラーゲン間にアパタイトが析出している像が認められた. 以上の結果より,in vitroにおいて接着強さに影響を与え,さらに水中浸漬試験により長期接着耐久性が劣る原因とされている樹脂未含浸脱灰象牙質は,in vivoにおいて再石灰化する可能性が示唆された.
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