1998 Fiscal Year Annual Research Report
歯の硬組織に対するErbium:YAGレーザーの影響について -特に劣化層形成に関する原因追及-
Project/Area Number |
10771066
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
石丸 和俊 鶴見大学, 歯学部, 助手 (50257333)
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Keywords | Erbium:YAGレーザー / 象牙質 / パルス幅 |
Research Abstract |
エネルギーを変仕させることによって切削効率が変化することは周知の事実であるが、パルス幅がどのような影響を与えるのかは未知数であった。そこで、歯の硬組織に対するErbium:YAGレーザーの影響について、象牙質にレーザーのパルス幅を変化させた際の歯質の変化について調べた。 新鮮抜去牛歯の唇面象牙質を用い、パルス幅は200μsecから50μsecまで100μsec単位で変化させた。照射回数は毎秒一回照射する条件で、一発だけ照射した場合と同一部位に十回あるいは十五回繰り返し照射した場合について比較した。 1. 照射するパルス幅の違いは、切削効率いう形で現れた。ロングパルス1になるに従って形成される窩洞は浅くなった。言い換えればショートパルスの方が切削効率は高かった。 2. 一回の照射でははっきりとした差は認めなかったが、同一部位に十回以上繰り返し照射することによって切削効率が明らかに違うことが判明した。 3. ショートパルスはロングパルスと比触して窩洞周囲の象牙質に対して物理的な変化を与える傾向にあった。窩洞に沿って走るクラックは、ショートパルスになるほど顕著となる傾向にあった。一方、ロングパルスは基質的な変化が大きいように思われた。 4. いずれの照射条件においても、レーザーの影響を受けた層は存在していた。 以上のことより、Erbium:YAGレーザーのパルス幅は、窩洞形成に影響を与えることと、ショートパルスになるにしたがって接着性修復が困難になる可能性が示唆された。このような現象はレーザー光線が発生する初期の段階でのピーク値が異なることに起因するものと考えられた。
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