1998 Fiscal Year Annual Research Report
リン酸四カルシウム・リン酸八カルシウム混合物を用いた象牙質形成に関する研究
Project/Area Number |
10771067
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
有本 憲弘 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (20291768)
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Keywords | リン酸四カルシウム / リン酸八カルシウム / ハイドロキシアパタイト / 相転化 / 象牙質 |
Research Abstract |
本研究の最終目的は、感染した歯質を周囲の歯質に近似した象牙質様硬組織に置換し治癒させる可能性を検討することを目的とし研究を行った. 本年度は、使用材料であるリン酸四カルシウム(TTCP)およびリン酸八カルシウム(OCP)の合成条件を検討し、その生成結晶相の状態分析を行い安定した試料作製の手法を確立した.その結果、TTCPは、固相反応を応用した合成法を用い、炭酸カルシウム(CaCO3)と第二リン酸カルシウム二水和物(DCPD)の等モル混合物を粉砕混合した後,1200℃で15時間仮焼、さらに1500℃で4時間焼成することにより合成を行った.しかし、焼結体表層は冷却中にハイドロキシアパタイト(HA)に一部相転化しているため焼結体の表層部を数mmの深さで除去することにより純度の高いTTCPを得ることが可能となった.また、OCPは、OCPは、DCPD 0.02mol、CaC03 0.00667molを計量し、200mlの蒸留水を含む三角フラスコ中に入れ,60℃で12時間撹拌後、沈殿物のみを水洗、真空乾燥することにより安定して調製することが可能となった. 次に、得られたTTCPおよびOCPがどの配合比における相転化反応が最も効果的であるかを把握するために、人細胞外液の無機塩類濃度にほぼ等しい組成の疑似体液への浸漬試験を行い、その生成結晶相の変化を観察した.その結果、TTCP 3molに対し、OCP 1molで混合した場合、すなわちHAと同じCa/P比1.67の場合に良好な相転化反応を示した.しかし、少量のOCPが残留することより、生成物は第二リン酸イオンを含み組成の特定できないカルシウム欠損アパタイトであるということが示唆された.さらに、この反応には、粉末の形状および他のイオンの影響が考えられた. 来年度はさらに詳細な検討を行い歯髄-象牙質との反応を検討する予定である.
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