1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771079
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
金 拓史 (金島 拓史) 岡山大学, 歯学部, 助手 (80284066)
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Keywords | 歯科 / 接着性レジンセメント / アクリルコアシェル / 弾性率 / 圧縮強さ / ひずみ |
Research Abstract |
口腔内において,咬合力により補綴物に発生するひずみや被着体間の熱膨張係数の違いから生ずるひずみを接着材層で吸収・分散させて接着部界面の残留応力を少なくする設計思想に基づき,弾性率の高い歯科用コンポジット型接着性レジンセメントに,弾性を付与することを目的として歯科用接着材の新規開発を試みた。 フッ素ゴムポリマーならびにアクリルコアシェルを10,15および20%の重量比で既存の歯科用コンポジット型接着性レジンセメント(パナビア21)のモノマーに配合後,シリカガラス系フィラーを添加し,各種接着材の試作を行った。試作した接着材の物理的諸性能の検討を行った(圧縮強さ,引張り強さ,曲げ強さ,弾性率,ヌープ硬さ,熱膨張係数,吸水率,溶解率,たわみ量等)。その結果, 1, フッ素ゴムポリマーを配合した場合,接着材自体の大幅な物性低下を招き,実用困難であった。 2, コンポジット型接着性レジンセメントにアクリルコアシェルを配合することによって,たわみ量を大幅に改善し,大きなひずみに相当する繰り返し荷重にも対応できることがわかった。 3, コアシェル配合により,試作接着材の圧縮強さが既存のコンポジット型接着性レジンセメントと比較して15〜65%減少たことからも,適量以上の配合は,接着材自身の物性低下を招くことがわかった。さらに,コアシェルの配合は接着要件である被膜厚さや溶解量には悪影響を及ぼさないことが判明した。 以上の結果から,コンポジット型接着性レジンセメントのマトリックスの一部をアクリルコアシェルポリマーで構成することで弾性変形量を増大させることができる可能性が示唆された。現在,試作接着材の歯質や金属に対する接着特性について検討中である。
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