1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
10771083
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
津賀 一弘 広島大学, 歯学部・附属病院, 講師 (60217289)
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Keywords | 顎関節症 / 筋疲労 / 筋電図 / 周波数分析 / 疼通 |
Research Abstract |
筋疲労由来の咀嚼筋症状の客観的定量評価法を確立することは,顎関節症の診断や治療効果を判定する上で意義深い。四肢筋で報告されているdelayed onset painを咀嚼筋に誘発できれば,原因を特定し経過時間のそろった実験系を確立し,咀嚼筋症状の高次生理診断に道を開くと考えられる。本研究では,delayed onset painを応用して明確な筋疲労を原因とする症状の誘発とその時間的経過を明らかにした実験系を確立すること,さらにこれを応用した信頼性の高い咀嚼筋症状の生理診断を目指した。 本年度には以下の実験を行った。1)被験者に正常天然歯列者10名を用い,両側側頭筋前部および咬筋より導出した筋活動をvisual feedbackさせて咬みしめ力を規定し,上顎全歯列接触型スプリントを装着させた状態で,最大随意咬みしめ(MVC)の50%となる持続咬みしめを可及的長時間,1分間の休憩をはさんで咬みしめが不可能になるまで繰り返し行なわせ,実験的疲労を惹起させた。2)咀嚼筋症状の主観的評価にはvisual analogue scaleを用い,筋疲労前から咀嚼筋症状消失までの自覚症状の経過を追った。その結果,自覚症状は疲労惹起後1〜2日で最大となり,1週間後までには消失することが明らかとなった。3)客観的定量評価として,咬頭嵌合位でMVCの50%での持続咬みしめを可及的長時間行なわせ,その間の筋電図周波数成分の変化を分析した。その結果,持続咬みしめに伴う筋電図周波数成分の低下の度合いが疲労惹起後2日まで減少し,その後回復することが明らかとなり,自覚症状とよく連動した客観的評価パラメータとなる可能性が示唆された。 今後は,さらに分析をすすめ,高次生理診断として最適な評価パラメータを検索するとともに,正常天然歯列者30名を用い,選択した評価パラメータの標準値を明らかにする予定である。
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