1998 Fiscal Year Annual Research Report
頭部の姿勢環境と顎口腔機構の関連に関する研究-リハビリテーションへの応用の試み-
Project/Area Number |
10771089
|
Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
鳥巣 哲朗 長崎大学, 歯科部, 助手 (80264258)
|
Keywords | 頭部運動 / 下顎運動 / 姿勢調節 / 急速開口 / 下顎下制 |
Research Abstract |
頭部の姿勢制御と摂食・嚥下機能等の顎口腔機能の関連性について調べた。顎口腔機能時に頭部が能動的にコントロールされているか否かは未だ明確ではない。そこで本年度は、摂食運動の一部を単純化したモデルとして急速開口運動を設定し、当該運動時の頭部運動特性について検討した。加速度センサーおよび筋電図記録を用い、顎口腔系および全身の運動系に異常を認めない健常成人8名(男性4名、女性4名。平均年齢:25.4才。22〜30才)について調査した。また下顎に対し機械的な下制力を負荷した条件でも記録をおこない、頭頚部および下顎へ外乱が加えられた時の頭部姿勢制御についても検討した。 下顎機能運動時には一定の頭部運動が観察され、この運動は後頚部筋筋活動を伴っていた。運動方向は頭部と下顎で逆方向であった。これらの運動に関与する時間的要因の解析により、当該頭部運動は受動的ではなく能動的に生じている事が示され、顎口腔機能時には下顎運動と共にプレプログラムされていることが示唆された。 頭頚部および下顎へ外乱を与えると、機械刺激とは反対方向の頭部運動が刺激に約100ms先行して観察された。これは刺激による身体バランスの乱れを予測的姿勢調節機構が補償した結果と推測された。しかし随意的下顎運動に伴う頭部運動は下顎とは反対方向であったが、外乱負荷時のような時間差で下顎運動より先行することはなく、ほぼ同時に開始していた。以上のことから当該頭部運動は下顎運動と密接な関連があることが示唆された。 今後は嚥下運動等に関して調査し、顎口腔機能に障害を持つ患者に関しても検討を行う。
|